2026(令和8)年度
共同研究課題
2026(令和8)年度共同研究課題一覧
- 新劇関連資料の整理および統合的な調査・研究を通した新劇史の再考(赤井紀美)
- 戦前日本映画の配給と興行の研究
――駒田好洋旧蔵資料を中心に (岡田秀則) - タイニイアリス小劇場関連資料の体系的整理に関する研究(金潤貞)
- 前田直資料の調査研究(斎藤慶子)
- 演劇博物館所蔵視聴覚資料の適正保存と活用促進に向けた調査研究(常石史子)
- 坪内博士記念演劇博物館所蔵役者絵の考証(桑原博行)
- 岡本綺堂旧蔵資料に関する基礎的研究(横山泰子)
- GHQ占領期における地域演劇の実証的研究
――九州地区を中心に (小川史) - 田邊孝治氏旧蔵講談資料の研究
―音声・映像資料と文献資料の関係を中心に― (今岡謙太郎) - 常磐津節正本板元坂川屋が遺した印刷在庫の概要調査(鈴木英一)
- 小山内薫関係資料の調査研究(熊谷知子)
- 沖縄を主題とする現代演劇とアートに関する研究——戦争の記憶に着目して——(近藤つぐみ)
- 演劇博物館所蔵中国伝統演劇・芸能関係漢籍目録の作成(継続(李家橋)
テーマ研究課題1
新劇関連資料の整理および統合的な調査・研究を通した新劇史の再考
代表者
赤井紀美(東北大学大学院文学研究科准教授)
研究分担者
後藤隆基(立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター特定課題研究員)熊谷知子(早稲田大学演劇博物館助教)
課題概要
本研究は、演劇博物館が所蔵する新劇関連資料の統合的な整理・調査・研究を通して、戦前から戦後に至る新劇史の再構築を試みるものである。新劇は日本の現代演劇の基盤を築いた点で演劇史上きわめて重要な位置を占めるだけでなく、文学・映画・テレビ・アニメーションといった映像・放送文化の発展にも寄与し、幅広い領域に影響を与えた。演劇博物館には、明治末から平成期に至る膨大な新劇資料が所蔵されているが、その一部は未整理である。本研究では、これら未整理資料の整理および、他の新劇資料を系統的に調査・検討することで、新劇史に新たな光を当てることを目的に掲げる。
テーマ研究課題2
戦前日本映画の配給と興行の研究
駒田好洋旧蔵資料を中心に
代表者
岡田秀則(国立映画アーカイブ 展示・資料室主任研究員)
研究分担者
紙屋牧子(国士舘大学文学部講師)
柴田康太郎(東京大学文学部助教)
白井史人(慶應義塾大学商学部准教授)
課題概要
本研究は、駒田好洋旧蔵資料や演劇博物館所蔵の映画館チラシ、映画館プログラム等の考証を行なうことにより、戦前日本の映画興行とこれを支えた映画供給体制を考察する。映画草創期から映画巡業隊を組織して各地で映画興行を行なった駒田好洋は、映画館(映画常設館)成立以降の1910~1920年代においても依然として巡業による映画興行を継続し、またセカイフィルム社を設立して、フィルムの貸出なども行なった。このような駒田の活動の展開は、映画興行が巡業興行から映画館での常設興行へと移行する転換期において、映画フィルムの供給体制の形成プロセスや、主要都市と地方の間に存在した映画の興行形態の多層的な展開を示すものである。駒田資料を考察することは、本研究チームがこれまで取り組んできた1920~30年代の映画館チラシを中心とする映画館興行の研究成果を、映画草創期の視点あるいは地方の視点から捉え直し、サイレント期からトーキー初期の映画館を取りまく多面的な映画興行の諸相を浮かび上がらせるものとなるはずである。
テーマ研究課題3
タイニイアリス小劇場関連資料の体系的整理に関する研究
代表者
金潤貞(椙山女学園大学外国語学部国際教養学科専任講師)
研究分担者
新井静(大阪大学人文学研究科演劇学研究室コースアシスタント)
課題概要
タイニイアリス小劇場(1983~2015 年)は、日本の小劇場運動における重要な拠点であり複数の分野にわたる実験的な芸術活動を支えた場所である。
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館には、タイニイアリス小劇場に関する公演関連書類、ポスター、パンフレット、チラシ、写真、映像記録、批評記事等が所蔵されている。これらの資料は、同劇場の活動の実態を明らかにするとともに、日本の小劇場運動や国内外の演劇交流の展開を検討するうえで重要な研究資料を、研究・教育に活用できる形で整理することを目的とする。
テーマ研究課題4
前田直資料の調査研究
代表者
斎藤慶子(愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授)
研究分担者
伊藤愉(明治大学文学部准教授)
沖田恭祐(日本大学大学院文学研究科)
近藤つぐみ(早稲田大学演劇博物館助教)
課題概要
研究対象とする資料は、旧日本帝国海軍軍人の前田直(まえだなおき1896-1964)旧蔵資料である。彼は、1932年から34年にかけてソビエト連邦在勤帝国大使館附武官補佐官としてモスクワで勤務していた。本研究の第一の目的は、彼の観劇日記を精読することで、当時の日本人が異文化体験としてソ連芸術をいかに受容したかを詳らかにすることである。第二の目的は、日本帝国海軍による戦時プロパガンダ、特に文化政策の様相の一端をあきらかにすることである。
テーマ研究課題5
演劇博物館所蔵視聴覚資料の適正保存と活用促進に向けた調査研究
代表者
常石史子(早稲田大学文学学術院教授)
研究分担者
入江良郎(国立映画アーカイブ副館長)
上田学(立命館大学映像学部映像学科教授)
森宗厚子(広島市映像文化ライブラリー映像文化専門官)
鈴木伸和(広島市映像文化ライブラリー映像技術専門官)
大屋德和(株式会社カロワークス)
齋藤優稀(早稲田大学大学院文学研究科)
課題概要
本研究は、演劇博物館所蔵の映画フィルムを中心とする視聴覚資料について網羅的に調査を進め、原資料の適正な保存と、デジタルアーカイヴの構築・活用とを実現することを目的とする。
映画史、映画フィルムの保存修復、デジタルアーカイヴ構築を専門とする研究代表者を中心に、多方面の専門家と連携し、内容と素材、両面での調査研究を推進する。
テーマ研究課題6
坪内博士記念演劇博物館所蔵役者絵の考証
代表者
桑原博行(早稲田大学演劇博物館招聘研究員)
研究分担者
高橋和日子(日本女子大学文学部助教)
課題概要
演劇博物館の所蔵する 48726 点超の役者絵の考証を行う。演劇博物館は世界最大級の役者絵所蔵機関であり、その全ての資料がデータベースで公開されている。その情報は世界中の研究者によって、閲覧・参照されているが、所蔵時に仮に入力した情報が多く、必ずしも研究的に正しいとはいえない。
役者絵研究会は、それらの役者絵を、番付、評判記、台帳、劇書などを博捜し、考証することを目的とする。
公募研究課題1
岡本綺堂旧蔵資料に関する基礎的研究
代表者
横山泰子(法政大学理工学部創生科学科教授)
研究分担者
東雅夫(文芸評論家、アンソロジスト)
鈴木彩(愛知教育大学国語教育講座講師)
鈴木優作(鹿児島大学特任助教)
原辰吉(世田谷文学館学芸員)
松田祥平(川村学院女子大学文学部准教授)
脇坂健介(学習院高等科)
課題概要
2022年に生誕150年を迎え、演劇と文学という両領域において大きな足跡を残した岡本綺堂(1872年~1939年)旧蔵資料(日記・原稿・書簡65点)の基礎的調査・分析を行うのが主要目的である。特に未発表・未翻刻の日記(1931年~1938年)は作家岡本綺堂の後半生を知るうえでの一級資料と思われ、それらのデジタル化および翻刻・注釈を行うことで、綺堂の活動や創作に対する新たな視点を提示できる。さらに、学際的な視点から、綺堂の活動ならびに当時の劇界や文学界、メディアや社会背景の一端を捉え直すことを目指す。
公募研究課題2
GHQ占領期における地域演劇の実証的研究
九州地区を中心に
代表者
小川史(横浜創英大学こども教育学部教授)
研究分担者
須川渡(立命館大学文学部准教授)
畑中小百合(大阪大学非常勤講師)
垣沼絢子(立命館大学衣笠総合研究機構プロジェクト研究員)
課題概要
本研究は、敗戦直後に九州地区で行われた演劇の実態・性格を明らかにすることを目的とする。九州地区劇団占領期GHQ検閲台本、いわゆる「ダイザー・コレクション」に含まれる台本を分析するとともに、同時代に発行されていた『九州演劇』『演劇文化』等の演劇雑誌・新聞および関連資料から、検閲台本を申請した劇団の実態を解明する。それにより、これまで解明されてこなかった敗戦直後の地域演劇の実態を明らかにする。
公募研究課題3
田邊孝治氏旧蔵講談資料の研究
代表者
今岡謙太郎(武蔵野美術大学造形学部教授)
研究分担者
佐藤かつら(青山学院大学文学部教授)
佐藤至子(東京大学文学部教授)
高松寿夫(早稲田大学文学学術院教授)
瀧口雅仁(恵泉女学園大学講師)
中川桂(二松学舎大学文学部教授)
課題概要
故田邊孝治氏は、新潮社で長年編集者をつとめる傍ら講談研究を進め、雑誌『講談研究』を編集発行して資料紹介また研究成果を発表してきた。本研究は早稲田大学演劇博物館に寄贈された田邊氏旧蔵の講談関係資料の全容を解明し、講談研究に新たな局面を拓く契機としたい。
公募研究課題4
常磐津節正本板元坂川屋が遺した印刷在庫の概要調査
代表者
鈴木英一(早稲田大学演劇博物館招聘研究員)
研究分担者
竹内有一(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター教授)
常岡亮(常磐津協会理事、常磐津家元後嗣)
阿部さとみ(武蔵野音楽大学非常勤講師)
前島美保(国立音楽大学准教授)
重藤暁(江戸川大学情報教育研究所客員研究員)
小西志保(京都市立芸術大学共同研究員)
課題概要
坂川屋は、1860年に常磐津正本(稽古本)の板株を伊賀屋から受け継ぎ、新たな板木と新たな印刷技術を導入しながら、1987年頃まで古態の正本を印刷し続けた板元である。この板元が旧蔵し演劇博物館に寄贈されて現存する「印刷在庫」群(刷り立てた正本の在庫および未成品、全47箱、点数は数万点か)が研究対象資料「坂川屋旧蔵常磐津節正本関連資料」である。これらの悉皆調査によって、印刷の方法と手順を解明するとともに、常磐津節正本が演奏伝承に貢献した役割と意義について、演劇映像学的観点から考察することを目的とする。