くずし字判読支援研究の成果公開
Kuzushiji
「くずし字」を使った古典芸能資料を見てみませんか
早稲田大学演劇博物館には、江戸時代の貴重な浄瑠璃丸本や歌舞伎の番付が数多く収蔵されています。ところがその文章は漢字をくずした独特の書体「くずし字」で書かれているため、専門家でなければ判読が困難です。
演劇博物館の演劇映像学連携研究拠点では、この「くずし字」を使った古い資料をより多くの方に触れていただくための研究を行いました。読み方を習得した人にしか分からなかった「くずし字」を現代の文字に直す作業(翻刻)をすすめ、さらに凸版印刷株式会社の協力を得て、この翻刻されたテキストを、資料とともに直感的に閲覧できる新しいビューアによって公開しています。
このビューアを使うと、既にくずし字に親しんでいる方でも、読みにくい部分をより早く読めるのみならず、初めてくずし字にふれる方でも、江戸時代の貴重な資料を「くずし字」とともに読むことができます。
新しい表示システムを使って江戸時代の貴重な資料をぜひ体験してみてください。
浄瑠璃丸本・歌舞伎番付くずし字翻刻テキストビューア
このプロジェクトの中心となるビューア。翻刻テキストを重ねて表示させながら、浄瑠璃丸本や歌舞伎番付の資料を閲覧することができます。字形データセットとして蓄積されたかな文字のデータは、崩す前の漢字(字母)ごとに分類されています。
浄瑠璃丸本と歌舞伎番付をより詳しく調べる
このプロジェクトでは、くずし字翻刻テキストビューアとともに、3種のデータベースで成果を公開しています。
浄瑠璃丸本・歌舞伎番付字形データベース
当拠点で翻刻データの作成を行った二つの浄瑠璃丸本(「仮名手本忠臣蔵」、「義経千本桜」)で使われている一文字一文字の「字形」を、および数々の歌舞伎番付(顔見世番付、役割番付)で使われている人名、役名などのデータを検索することができます。「くずし字OCR」の開発の基礎データとなるものです。
浄瑠璃丸本本文データベース
※公開準備中
2つの浄瑠璃丸本(「仮名手本忠臣蔵」、「義経千本桜」)全体の本文のテキストを検索するためのデータベースです。この2作品のなかで使われている語彙、文字、表現の用例を調べることができます。
浄瑠璃丸本文字譜データベース
※公開準備中
2つの浄瑠璃丸本(「仮名手本忠臣蔵」、「義経千本桜」)で使われている文字譜(語り方を示す記号)を検索することができます。どのような文字譜が、どの作品のどのような表現に付されているかを検索することができます。
演劇博物館演劇映像学連携研究拠点編「古文書・古典籍の翻刻と符号化に関するガイドライン」
演劇博物館演劇映像学連携研究拠点編「古文書・古典籍の翻刻と符号化に関するガイドライン」(2024年度版)
このガイドラインは、文部科学省の機能強化支援事業の補助金を得て本拠点が進めた「「くずし字OCR」を活用した総合的古典籍データベースの構築」事業でのデータ作成方針をまとめたものです。今後のくずし字翻刻の発展に資するべく、翻刻データの作成時に問題になった ①資料内の文字を置き換える符号の選択に関する問題、および ②符号化の順序に関する問題を中心に方針を記しています。

このページは2016〜2018(平成28〜平成30)年度の文部科学省の補助金「特色ある共同拠点の整備の推進事業 機能強化支援」による演劇映像学連携研究拠点(拠点代表:岡室美奈子)の事業「「くずし字OCR」を活用した総合的古典籍データベースの構築」成果の一部として公開しています。