2023(令和5)年度
奨励研究課題
2024(令和6)年度共同研究課題一覧
- 久保栄資料の調査研究(阿部由香子)
- 倉林誠一郎旧蔵資料を中心とする戦後新劇の調査研究(後藤隆基)
- 映画関連資料を活用した戦前期の映画興行に関する研究(岡田秀則)
- 岡本綺堂旧蔵資料に関する基礎的研究(横山泰子)
- 日記から考える歌舞伎役者を中心にした江戸中期の文芸圏研究(BJÖRK, Tove Johanna)
- GHQ占領期における地域演劇の実証的研究
――九州地区を中心に (小川史) - 田邊孝治氏旧蔵講談資料の研究(今岡謙太郎)
- 常磐津節正本板元坂川屋が遺した印刷在庫の概要調査(竹内有一)
- 小沢昭一旧蔵資料にみる「日本芸能史」構想についての調査研究
――性表現の推移を中心に (鈴木聖子)
- 小山内薫関係資料の調査研究(熊谷知子)
- 戦後日本の演劇における第二次世界大戦の表象と語り
――2025年度早稲田大学演劇博物館企画展に向けて (近藤つぐみ) - 演劇博物館所蔵中国演芸貴重資料の目録作成(李家橋)
- 戦前~戦中日本のロマンチック・コメディ映画に関する調査研究(具珉婀)
奨励研究課題
小山内薫関係資料の調査研究
代表者
熊谷知子
課題概要
演出家・劇作家・小説家として明治後期から昭和初期にかけて活躍した小山内薫(1881~1928)は、自由劇場(1909~1919)や築地小劇場(1924~1929)をはじめとした新劇運動のほか、歌舞伎座や明治座といった大劇場における商業演劇でも多くの仕事を手掛けた、日本演劇においてきわめて重要な人物である。しかし、小山内薫に関する一次資料を用いた研究はその知名度に反していまだ十分とは言えない。本研究では、演劇博物館が所蔵する書簡や絵葉書などの小山内薫関係資料を中心に調査・整理することで、小山内薫の演劇活動と交友関係に新たな視点を付与することを目指す。
奨励研究課題
戦後日本の演劇における第二次世界大戦の表象と語り
2025年度早稲田大学演劇博物館企画展に向けて
代表者
近藤つぐみ
課題概要
本研究は、2025 年春に早稲田大学演劇博物館にて実施予定の企画展「第二次世界大戦と日本の現代演劇(仮)」に向けての調査研究である。2025 年は第二次世界大戦終結から 80 年という節目の年であると同時に、過去数年間にわたって COVID-19 蔓延をきっかけに戦後日本における演劇の上演記録や映像を集積する JDTA・EPAD のプロジェクトが大々的に動いた。その結果、戦後 80 年間のわが国の演劇において、第二次世界大戦の経験がどのように反映され、表象されてきたかを振り返ることが可能になった。 JDTA で「戦争」のキーワードでヒットする公演は 167 件にのぼり、そこへ演劇博物館演劇公演記録データベースの調査結果も追加すればかなりの作品数になる。本研究は、第二次世界大戦の表象/についての語りを含む戦後日本の演劇作品を対象に、われわれが演劇を通して第二次世界大戦の経験や史実とどのように向き合ってきたのかをアーカイヴ調査から明らかにする。
奨励研究課題
演劇博物館所蔵中国演芸貴重資料の目録作成
代表者
李家橋
課題概要
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館では、中国演劇芸能関連の貴重資料を多く所蔵している。その代表として、たとえば、明の崇禎年間(1628-1644)刊行の『燕子箋』(坪内逍遥寄贈)や清の乾隆時代(1736-1795)刊行の『石榴記』『紅雪楼九種曲』など戯曲の版本は中国でも稀覯品になり、民国時代(1912‐1949)に刊行した広東省潮州歌冊の作品群も他所になかなか見えないほど大量に揃っている。しかし、所蔵情報をあまり世に知られていないため、演劇博物館所蔵のそれらの貴重資料は今までほとんど注目されていない。本研究では、演劇博物館所蔵の中国演芸貴重資料の目録を作成・公開し、国内外の利用者に検索の便宜を提供して中国演芸貴重資料の価値を活用することを目指す。
奨励研究課題
戦前~戦中日本のロマンチック・コメディ映画に関する調査研究
代表者
具珉婀
課題概要
1920~30 年代の日本において、アメリカ映画はアメリカの近代的なライフスタイルを示す「窓」であった。なかでも華やかな消費文化と男女の恋の戯れを織り込んだロマンチック・コメディは、モダニティの概念を具現化する魅惑的なメディアとして届けられ、それに追随する形で『足にさわった女』(阿部豊、1926)などの映画が製作された。このようにモダニズム/アメリカニズムの文脈で戦前のロマンチック・コメディの一部の様相は解明されているが、多くの作品のフィルムが消失してしまったため、その全貌は明らかにされていない。そこで本研究は、演劇博物館所蔵の一次資料をもとに戦前~戦中のロマンチック・コメディについて調査を行うことで、商業性が強いという理由で映画研究において関心の度が相対的に低かったコメディ映画を再評価し、後続研究のための基盤を築くことを目指す。