研究会

Activity

  • 公募研究 「楽譜資料を中心とした無声期の映画館と音楽の研究」の主催イベント

    公開研究会
    無声期の映画館における和洋合奏:楽譜資料「ヒラノ・コレクション」とSPレコード


    ◆日時 2018年1月13日(土)13:30~17:30(予定)
    ◆会場:早稲田大学小野記念講堂
    ◆入場無料・予約不要

    Hirano Collection 2017-1  Hirano Collection 2017-2


    開催趣旨

    無声映画の時代、時代劇には和洋合奏で音楽がつけられていました。演劇博物館に所蔵されている「ヒラノ・コレクション」は、当時の映画館で実際に使用されていた楽譜資料で、演奏の実態を今日に伝える貴重な資料となっています。ところが、同時期に流通したSPレコードには、コレクションの譜面にはない様々な鳴物の音が確認できます。そこで研究会の第1部では、楽譜や文献とともに、改めてSPレコードの音源等を交えて当時の和洋合奏のあり方を再検証します。第2部ではその成果に基づき、鳴物をふくめた和洋合奏によって『忠次旅日記』の上映を行います。


    プログラム

    第1部 シンポジウム(13:30-15:00)

    発表 日活直営館における時代劇伴奏と和洋合奏
      柴田康太郎(早稲田大学演劇博物館研究助手)
    発表 ヒラノ・コレクションからみる場面別表現と邦楽器
      白井史人(日本学術振興会特別研究員PD)
    発表 無声期日本映画の「尖端」と映画館における語り・音楽
      紙屋牧子(東京国立近代美術館フィルムセンター特定研究員)
    音源紹介『忠次旅日記』に関するSPレコード
      片岡一郎(活動写真弁士)
    邦楽解説 SPレコードにおける邦楽表現
      堅田喜三代(邦楽演奏家)
    コメント   アーロン・ジェロー(イェール大学教授)

    15:00 –15:15 休憩(15分)

    第2部 参考上映『忠次旅日記』(15:15-17:30)

    1927年、日活大将軍、111分、35mm、染色・無声・不完全  ※東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
    監督:伊藤大輔、出演:大河内傳次郎、中村英雄、澤蘭子、伏見直江

    ※フィルムセンター所蔵映像にくわえ以下の2つの断片フィルムも上映します
    ・『忠次旅日記 甲州殺陣篇』(演劇博物館蔵、約1分)
    ・『忠次旅日記 信州血笑篇』(牧由尚氏個人蔵、約1分)


    出演
    片岡一郎(活動写真弁士)
    湯浅ジョウイチ(指揮)
    鈴木真紀子(フルート)、古橋ユキ(ヴァイオリン)、川上統(チェロ)、丹原要(ピアノ)、宮澤やすみ(三味線)、堅田喜三代(鳴物)


    開催報告

    この公開研究会では、この共同研究チームの成果発表と討議を行うシンポジウムと、和洋合奏付で無声映画『忠次旅日記』の参考上映を行った。

    第1部のシンポジウムでは、柴田康太郎の発表「時代劇伴奏における折衷性」、白井史人の発表「ヒラノ・コレクションからみる場面別表現と邦楽器」、紙屋牧子の発表「無声期日本映画の「尖端」と映画館における語り・音楽」が行われた。次いで活動写真弁士の片岡一郎による『忠次旅日記』に関するSPレコードの音源紹介、邦楽演奏家の堅田喜三代による音源中の邦楽にかんする解説がなされ、最後にアーロン・ジェロー教授のコメントにより、各発表が映画史研究のより広い文脈のなかで捉え直され、この研究会の意義が再解釈された。

    第2部では、第1部での分析を踏まえた『忠次旅日記』の参考上映がなされた。演劇博物館所蔵の無声映画の楽譜資料「ヒラノ・コレクション」から採られた楽曲が和洋合奏によって演奏されるとともに、SPレコードに聞かれた鳴物の実践が併せて実現された。SPレコードの参照や伝統的な邦楽の型を組み合わせる試みによって、この楽譜の再現演奏と上映のあり方において新たな可能性が開拓された。

    Hirano Collection 2017-3


    主催 早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点 公募研究「楽譜資料を中心とした無声期の映画館と音楽の研究」
    協力 東京国立近代美術館フィルムセンター、日活株式会社
    画像・映像提供 牧由尚