2022(令和4)年度

奨励研究課題

2022(令和4)年度共同研究課題一覧

※( )内は研究代表者
テーマ研究
  1. 別役実草稿研究(梅山いつき)
  2. 倉林誠一郎旧蔵資料の調査研究(後藤隆基)
  3. 「映画館チラシ」を中心とした映画関連資料の活用に向けた調査研究(岡田秀則)
公募研究
  1. 江口博旧蔵資料にみる戦時下から戦後の舞踊(宮川麻理子)
  2. 日記から考える歌舞伎役者を中心にした江戸中期の文芸圏研究(Björk, Tove Johanna)
  3. GHQ占領期における地域演劇の実証的研究――九州地区を中心に(小川史)
  4. 栗原重一旧蔵楽譜を中心とした楽士・楽団研究――昭和初期の演劇・映画と音楽(中野正昭)
  5. 常磐津節正本板元坂川屋の出版活動(竹内有一)
奨励研究
  1. 人形浄瑠璃文楽の図像・音声・映像資料の調査研究(原田真澄)
  2. 演劇博物館所蔵落語・講談関連資料の調査研究――田邉孝治旧蔵資料を中心に(赤井紀美)
  3. 日英の女性劇作家・翻訳家たち――16世紀中頃から21世紀まで(石渕理恵子)
  4. 日本小劇場演劇関連資料調査及びその活用方法研究――太田省吾と佐藤信を中心に(金潤貞)
  5. 外国映画パンフレットの調査と研究(川﨑佳哉)
  6. 撮影所システム衰退期の日本映画における性表象に関する基礎研究(鳩飼未緒)


奨励研究課題

人形浄瑠璃文楽の図像・音声・映像資料の調査研究

代表者

原田真澄

課題概要

近世から近現代までの人形浄瑠璃文楽に関する図像 ・音声・映像資料の調査研究。特に、映画「生きて いる人形」(1957年)についての研究を行う。本作は、近代文楽の名人桐竹紋十郎が演じる近松半二作 「本朝廿四孝」十種香の段の映像が収められている重要な文楽の短編映画であるが、封切り以後は文楽研 究、映画研究において取り上げられることが少なかった。近年国立映画アーカイブが当該フィルムを保持 していることが明らかとなったため、フィルムのデジタル化と上映会開催を目指して研究を行う。 同時に「本朝廿四孝」を中心とする近松半二作品の総合的な表象を調査するために、江戸時代から近現 代にいたるまでの図像・音声・映像資料を収集・調査する。


奨励研究課題

演劇博物館所蔵落語・講談関連資料の調査研究

田邉孝治旧蔵資料を中心に

代表者

赤井紀美

課題概要

演劇博物館には多くの落語・講談関係の資料が所蔵されている。特に近代を中心に様々な資料(AV資料、 プログラム類)があるが、未整理の状態のものがほとんどである。落語・講談を含めた近代の寄席芸に ついては未だ明らかになっていない面があり、これらの資料を整理・活用することで新たな研究の展開が みられると考える。また寄席芸は近接領域として演劇、特に商業演劇と深い関りがある。近代における 寄席芸の様態を明らかにすることは、近代商業演劇との相互影響また往還関係についての新たな視点を 得られると考える。館所蔵の関連未整理資料のうち、本年は田邉孝治旧蔵の講談関連資料の調査を行う。


奨励研究課題

日英の女性劇作家・翻訳家たち

16世紀中頃から21世紀まで

代表者

石渕理恵子

課題概要

本研究では、日英の女性劇作家・翻訳家に焦点を当て、演劇博物館所蔵の資料を中心に発掘・研究を行いたい。 英国では16世紀中頃~17世紀前半頃にジェーン・ラムリーやメアリ・ロウス等を嚆矢として戯曲を翻訳する・ 書く女性が誕生した。明治期以降の日本では湯浅芳子がチェーホフの芝居を翻訳し、坪内逍遙と縁が深い 長谷川時雨は劇作を行った。これらの日英の状況等も踏まえ、超時代、超地域的に日英の女性がそれぞれの国の 演劇文化の発展に如何に貢献したかを示す関連資料を幅広くデータ化し、将来の国際的な共同研究の基盤作りを目指したい。


奨励研究課題

日本小劇場演劇関連資料調査及びその活用方法研究

太田省吾と佐藤信を中心に

代表者

金潤貞

課題概要

本研究は、昨年度行った「太田省吾関連資料の所蔵現状調査及びそ活用方法」を発展させ、資料の内容や 所在等の詳細を記録、データ化し活用方法模索するものである。昨年度は、コロナウイルス感染拡大の 影響により演劇博物館以外の場所に所蔵されている資料についての調査が出来なかった。そこで着手した 佐藤信寄贈資料整理作業を継続して並行する。現在検討中である2023年度の展示に向け、1960年代から 同時代に活動していた二人の演劇人関連資料を活用する方法を具体化したい。


奨励研究課題

外国映画パンフレットの調査と研究

代表者

川﨑佳哉

課題概要

日本では、映画作品の公開にあわせて映画パンフレットを刊行することが慣習となっている。一般公開される 映画を見に行けば、大衆映画か芸術映画かを問わず、映画館でパンフレットが売られている光景を目にしない ことはほとんどない。このように日本国内では広く認知されている映画パンフレットであるが、他の国々で こうした冊子が製作されることは稀であり、日本においてここまで普及しているのは独自の文化であるという 見方もある。演劇博物館には、膨大な数の映画パンフレットが所蔵されているが、それらを研究に活用する ことによって、他の国には見られない日本独自の映画受容の歴史を浮き上がらせることができるはずだ。 前年度の「外国映画の関連資料調査・研究」を引き継ぐ本研究は、演劇博物館所蔵の外国映画のパンフレットを 研究することによって、日本における映画受容史に新たな光を当てることを試みる。


奨励研究課題

撮影所システム衰退期の日本映画における性表象に関する基礎研究

代表者

鳩飼未緒

課題概要

本研究は、主に1960年代から1980年代にかけての撮影所システム衰退期の日本映画を性表象という観点から 考察するものである。観客数の減少が深刻化し始めた1960年代初頭以降、日本の大手映画会社は主要観客層 である成人男性を取り込むために性的な要素を売りにする作品を量産していく。この傾向は撮影所システムの 崩壊が決定的となる1980年代まで継続するが、本研究では映画作品のテクストのみならず、シナリオ(演劇博物館所蔵)、 予告篇やポスター、プレスシートなどの宣伝資料、雑誌の批評言説といった関連資料を複合的に調査・分析 することで撮影所作品における性表象の変遷を辿り、同時代の社会状況の中に位置づけつつ再検討・再評価することを目指す。