国際シンポジウム

植民地·帝国体制期の映画館、映画文化

報告

    2018年11月3日、韓国映像資料院の主催、神戸学院大学人文学部研究推進費と本拠点の共催による国際シンポジウム「イデオロギーと興行のあいだ 植民地/帝国の映画館、映画文化」(韓国映像資料院)を開催した。本拠点の過去年度の共同研究課題の成果発信を海外へと推し進める一環として行われた。

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    これは近年注目を集めつつある東アジアにおける映画興行の国際的な展開を歴史的に探求する画期的な催しとして位置づけられる。過去年度の共同研究課題の成果発信として、上田学氏(神戸学院大学准教授)が「満洲国」の映画館と巡回映写をめぐる講演を行い、分担者の近藤和都氏(日本学術振興会特別研究員 PD)は、戦時下の日本の映画館をとりまく興行実践を検証した。仁井田千絵氏(早稲田大学)は、関東大震災後の日本の映画館における近代化をめぐる諸実践を考察し、さらに板倉史明氏(神戸大学教授)は、日本の内務省による朝鮮映画検閲について検討した。研究協力者のチョン・ジョンファ氏(韓国映像資料院)は、1930 年代半ば~ 1940 年代初期の京城における映画館をもとに研究発表を行い、分担者のローランド・ドメーニグ氏(明治学院大学教授)が戦時下の映画興行・政策に関するディスカッサントを務めた。最後には、その他 3 名の発表者と5 名のディスカッサントとともに、日韓の研究者による活発な議論が交わされた。日本の帝国主義の動きのなかでの日韓両国の映画興行について多角的な検討がなされた。