研究会

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早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点主催

「チェルフィッチュ「映像演劇」をめぐって〜”演劇性”のアップデート」


◆日時 2024年05月29日(水)18:00~20:30
◆会場 早稲田大学小野記念講堂
◆定員 200名
 ※事前予約制、定員を超えた場合は抽選
◆参加無料
◆申込期間 2024年05月1日(水)10:00~05月21日(火)23:59
  --> 予約申込は コチラのフォームから ※申し込みは終了しました


【2024年8月2日更新】
演劇博物館公式YouTubeチャンネルにてアーカイブ映像を公開いたしました。
コチラからご覧ください。


企画概要

 演劇博物館、および本拠点では、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年からコロナ禍における演劇文化に関する調査・検討を継続的に行ってきました。その中で、コロナ禍により需要が高まった演劇の映像配信やハイブリッド上演などの新しい演劇の形が受容する側にとってどのように変化したのか、リアルと配信、それぞれの体感や楽しみ方についても議論を重ねてきました。
チェルフィッチュは、近年、スクリーンなどに投影された等身大の役者の映像と観客の想像力によって「演劇」を立ち上げる〈映像演劇〉を探求しています。2022年3月初演の『階層』では、奈落と客席という劇場の機構を利用して、観客が移動しながら、舞台上から奈落の底に映し出された役者たちの映像を覗き込むというスタイルを導入しました。同年8月初演の『ニュー・イリュージョン』では、舞台と客席という通常の演劇の形式を踏襲しつつ、劇場空間で〈映像演劇〉を「上演」しました。 こうした作品は、演劇は生身の役者によって演じられ、役者と観客が時間と空間を共有するという、ギリシャ劇以来の演劇の定義を揺るがせ、私たちに映像と演劇の関係を再考させる試みであると言えます。 コロナ禍以降、舞台と映像の関係が問い直され、演劇の再定義が求められる中、本シンポジウムでは、〈映像演劇〉について改めて考えます。舞台の上に現実と虚構、現在と過去、存在と不在が折り重なる〈映像演劇〉は〈不在〉の演劇を追求するサミュエル・ベケットの作品とも響き合うものがあり、その視点からも論じられればと思います。
シンポジウムでは、まず、チェルフィッチュとともに〈映像演劇〉を立ち上げた映像作家の山田晋平氏が〈映像演劇〉の映像を紹介しながら基調講演を行います。後半のディスカッションには、山田氏のほか、チェルフィッチュ主宰で〈映像演劇〉の作・演出を手がける岡田利規氏、フェスティバル/トーキョーや東京芸術祭のディレクターを長年務め、ドラマトゥルクでベケット研究者でもある東京藝術大学の長島確氏が登壇し、同じくベケット研究者である早稲田大学演劇博物館前館長の岡室美奈子氏が司会を務めます。  


登壇者

山田 晋平(映像作家・株式会社青空代表)
岡田 利規(演劇作家・小説家・チェルフィッチュ主宰)
長島 確(ドラマトゥルク)
岡室 美奈子(早稲田大学文学学術院教授)
※登壇順、敬称略


プログラム

18:00 開会の挨拶、趣旨説明

【第一部】基調講演
18:05-18:50 山田 晋平

18:50-19:00 休憩

【第二部】ディスカッション、Q&A
19:00-20:30 山田 晋平、岡田 利規、長島 確、岡室 美奈子

20:30 閉会の挨拶、終了


登壇者プロフィール

●山田 晋平(映像作家・株式会社青空代表)
yamada 1979年生まれ。愛知県豊橋市在住。
京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科卒業。
演劇やコンテンポラリーダンスを中心に、オペラ、コンサートなど、様々な舞台芸術の上演内で使用される演出映像の製作が専門。近年では、現代美術家とのコラボレーションによるプロジェクションマッピング作品や、演劇作家との映像インスタレーションなどの製作も行う。また、劇場や美術館にとどまらず、まちなかの建物や生活空間にまで表現の場を広げ、サイトスペシフィックなアートプロジェクトの企画・監修なども行っている。舞台芸術と現代美術のフィールドを横断し、かつ芸術と日常生活の空間的な境界を横断しながら、映像芸術の新たな可能性を探る活動を展開する。
これまでに参加した主な舞台作品は、チェルフィッチュ、維新派、白井剛など、国内外での公演多数。舞台作品の他には、現代美術家・金氏徹平とのプロジェクションマッピング作品「holes and buildings」、演劇作家・岡田利規による「映像演劇」シリーズの映像担当、ツアーパフォーマンス『Kawalala-rhapsody』の監修など。2022年からは「国際芸術祭あいち」のテクニカルディレクターを務める。

●岡田 利規(演劇作家・小説家・チェルフィッチュ主宰)
okada その手法における言葉と身体の独特な関係が注目され、2005年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞、同年7月『クーラー』で「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005ー次代を担う振付家の発掘ー」最終選考会に出場。2013年に演劇論集『遡行 変形していくための演劇論』(河出書房新社)を刊行。
2016年からはドイツの公立劇場レパートリー作品の作・演出も継続的に務める。2020年『掃除機』(ミュンヘン・カンマーシュピーレ)および2022年『ドーナ(ッ)ツ』(ハンブルク、タリア劇場)でベルリン演劇祭(ドイツ語圏演劇の年間における"注目すべき10作")に選出。
タイの現代小説をタイの俳優たちと舞台化した『プラータナー:憑依のポートレート』で第27回読売演劇大賞・選考委員特別賞を受賞。能のナラティヴの構造を用いた『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』(KAAT神奈川芸術劇場)で第72回読売文学賞・戯曲・シナリオ賞及び第25回鶴屋南北賞受賞。2021年には『夕鶴』(全国共同制作オペラ)で歌劇の演出を手がけた。
小説家としては、2007年に『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(新潮社)を刊行。第2回大江健三郎賞受賞。2022年に『ブロッコリーレボリューション』(新潮社)で第35回三島由紀夫賞および第64回熊日文学賞を受賞。

●長島 確(ドラマトゥルク)
nagashima 舞台字幕や上演台本の翻訳から劇場の仕事に関わり始め、やがて演出家や振付家の創作のパートナーであるドラマトゥルクとしてさまざまな舞台芸術の現場に参加。劇場のアイデアやノウハウを劇場外に持ち出すことに興味をもち、アートプロジェクトにも積極的に取り組む。2018-20年フェスティバル/トーキョーディレクター、その後23年まで東京芸術祭のディレクションに関わる。プロジェクトの記録に『アトレウス家の建て方』、『つくりかた研究所の問題集』(共著)など。訳書にベケット『いざ最悪の方へ』、『新訳ベケット戯曲全集』(監修・共訳)ほか。またサラ・ケインやヨン・フォッセの上演台本の翻訳を手がける。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科准教授。


●岡室 美奈子(早稲田大学文学学術院教授)
okamuro 早稲田大学文学学術院教授、文学博士。早稲田大学演劇博物館前館長。専門は現代演劇論、テレビドラマ論、サミュエル・ベケット論。日本演劇学会理事、デジタルアーカイブ学会理事、放送番組センター理事、文化審議会委員などを務める。近著に『テレビドラマは時代を映す』(ハヤカワ新書)、共編著書に『六〇年代演劇再考』、『サミュエル・ベケット!――新しい批評』など、訳書に『新訳ベケット戯曲全集1 ゴドーを待ちながら/エンドゲーム』などがある。





【主催】
早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点