遠松杦野三村の次郎木村は用意の継梯子千崎弥五郎堀井の弥惣同弥九郎遊所の酒にゑひもせぬ由良助が智略にて八尺斗の大竹に弦をかけてぞ持たりける後陣は矢間重太郎遥跡ゟ身を卑下し出るは寺岡平右衛門仮名実名袖印其数四十六人なりくさり袴に黒羽織忠義の胸当打揃ふげに忠臣のかな手本義心の手本義平が家名天と河との合詞忘るな兼ての云合矢間千崎小寺の面々躮力弥を始とし表門ゟ入〱〱郷右衛門と某は裏門ゟ込入で相図の笛を吹ならば時分はよしと乗込よ取べき首は只一つと由良助に下知せられ怒の眼一時に館を遥に睨付裏と表へ別れ行かくとはしらず高武蔵守師直は由良助が放埒に心もゆるむ油断酒藝子遊女に舞うたはせ薬師寺を上客にて身の程しらぬ大さはぎ果はさこねのふ行義に前後もしらぬ寝入ばな非常を守る番人の拍子木のみぞ残りけり表裏一度に手筈をきはめ矢間千崎ふ敵の二人表門に忍び寄内の様子を窺へば夜廻りとおぼしき拍子木遠音をさせば能折と例のたしなむ継梯子高塀に打かけ〱雲居迄もとさゝかにの上りおほせた塀の屋根はや拍子木の近付音ひらりとおりるを見付し番人スハ何者とかけ寄を取てひつふせ高手小手よい案内と息をとめ縄先腰にひつかけて拍子木奪ひかつちかち役所〱を
遠松杦野三村の次郎木村は用意の継梯子千崎弥五郎堀井の弥惣同弥九郎遊所の酒にゑひもせぬ由良ノ助が智略にて八尺斗の大竹に弦をかけてぞ持たりける後陣は矢間重太郎遥跡ゟ身を卑下し出るは寺岡平右衛門仮名実ツ名袖印シ其数四十六人なりくさり袴に黒羽織忠義の胸当打揃ふげに忠臣のかな手本義心ンの手本義平が家名天と河との合イ詞忘るな兼ての云合セ矢間千崎小寺の面ン々躮力弥を始メとし表テ門ゟ入レ〱〱郷右衛門と某は裏門ゟ込ミ入ツで相図の笛を吹クならば時分ンはよしと乗リ込メよ取ルべき首は只一つと由良ノ助に下知せられ怒の眼コ一ツ時に館を遥に睨付ケ裏と表テへ別れ行かくとはしらず高ノ武蔵ノ守師直は由良ノ助が放埒に心もゆるむ油断酒藝子遊女に舞イうたはせ薬師寺を上客にて身の程しらぬ大さはぎ果はさこねのふ行義に前ン後もしらぬ寝入ばな非常を守る番人の拍子木のみぞ残りけり表裏一チ度に手筈をきはめ矢間千崎ふ敵の二人表テ門に忍び寄リ内の様子を窺へば夜廻りとおぼしき拍子木遠音をさせば能キ折と例のたしなむ継梯子高塀に打かけ〱雲居迄もとさゝかにの上りおほせた塀の屋根はや拍子木の近カ付ク音ひらりとおりるを見付ケし番人スハ何者とかけ寄ルを取ツてひつふせ高手小手よい案内と息をとめ縄先キ腰にひつかけて拍子木奪ひかつちかち役所〱を
下:遠松,キン:遠松下/キン
色:三村の色
中:木村は,キン:木村は中/キン
ウ:千崎ウ
ナヲス:堀井の,中:堀井のナヲス/中
ハルキン:同ハルキン
ウ:遊所のウ
コハリ:由良助が,ウ:由良助がコハリ/ウ
ウ:大竹にウ
ウ:後陣はウ
ウ:重太郎ウ
ハル:遥ハル
ナヲス:身をナヲス
ウ:出るはウ
色:平右衛門色
地:くさり袴に,ウ:くさり袴に地/ウ
ハル:げにハル
ウ:義心のウ
色:義平が色
詞:天と,ブリ:天と詞/ブリ
地:相図の,ウ:相図の地/ウ
ハル:乗込よハル
ウ:首はウ
ウ:由良助ウ
ウ:睨付ウ
三重:別れ,上:別れ三重/上
フシ:かくとはフシ
地:高,ハル:高地/ハル
中:油断中
ウ:藝子ウ
ウ:薬師寺をウ
ハル:大さはぎハル
ウ:果はウ
ウ:番人のウ
フシ:拍子木のみぞフシ
地:表裏,ウ:表裏地/ウ
ウ:ふ敵のウ
ハル:表門ハル
中:窺へば中
ウ:夜廻りとウ
ウ:例のウ
ハル:雲居迄もとハル
ウ:さゝかにのウ
中:上り中
色:番人色
ウ:スハウ
ハル:取てハル
中:よい,ウ:よい中/ウ
ハル:ひつかけてハル
ウ:拍子木ウ
ウ:役所ウ