殿宿殿殿殿
むつと顔色かはり詞でいはれぬ礼と有ばイヤコレ礼物請ふと存し命がけのお世話せわは申さぬ町人と見あなどり小判のみゝつらはるのかイヤ我々は娑婆しやばいとま貴殿は残る此世の宿縁しゆくゑん御臺かほよ御前の義も御頼申さん為寸志計と云残し表へ出れば猶むつと性根魂しやうねたま見ちがへたかふみ付た仕方あたいま〱しけがらはしとつゝみし進蹴飛けとばせば包ほどけて内よりばらり女房かけ寄コレ是はわしが櫛笄切れた髪ヤア〱〱此一包は去状ホイ扨は最前切たのはホウ此由良助が大わし文吾をうら道ゟ廻らせ根よりふつつときらした心はいかな親でも尼法師をよめらそふ共いふまいし嫁に取者は猶有まい其髪ののびる間もおよそ百日我々本とぐるも百日は過さし討おゝせた後目出度めでたく祝言しうげん其時には櫛笄くしかうかい其切髪をそへに入わけの三国一それ迄は尼の乳母うば半季の奉公人其肝煎きもいりは大鷲文吾同矢間重太郎此両人が連中へ大事はもれぬといふ請判由良助は冥途めいどから仲人なかうと致さん義平殿ハアヽ重々のおこゝろざしお礼申せ女房わたしが為には命の親イヤお礼に及ばす返礼と申九牛きう〲が一もう義平殿にも町人ならずばともに出とのお望幸かな兼て夜討と存れば敵中へ入込時貴殿の家名の天河屋を直に夜討の合詞天とかけなは河とこたへ四十人の者共が天よ河よと申なら貴公も夜討にお出もどう

色:顔色

詞:詞で

地:寸志計と,ハル:寸志計と地/ハル

中:云残し

ハルフシ:表へハルフシ

色:むつと

詞:性根魂を

地:穢はしと,ハル:穢はしと地/ハル

ウ:包し

中:蹴飛せば

ウ:包

ハル:女房ハル

詞:コレ

地:笄曲の,ハル:笄曲の地/ハル

ウ:三国一

中:尼の

詞:一季

地色:此,ハル:此地色/ハル

ウ:大事は

中:請判

ウ:由良助は

ハル:致さんハル

色:義平殿

詞:ハアヽ

地色:わたしが,ハル:わたしが地色/ハル

詞:イヤ

地:四十人余の,ハル:四十人余の地/ハル

ウ:天よ

色:申なら

詞:貴公も