づと見込で頼んだ一大事此由良助は微塵みちんいさゝかうたがひ申さね共馴染なじみ付でなき此人々四十人の中にも天河屋の義平は生れながらの町人今にもとらへられせんにあはゞいかゞあらん何とかいはんこと寵愛ちやうあいの一子もあれは子にまよふは親心と評義まちあんじに胸もやすまらず所詮一心の定し所を見せ古朋輩こほうばいの者共へ安堵あんどさせん為せまじき事とは存ながら右の仕合麁忽そこつの段はまつぴら〱花は桜木人は武士と申せ共いつかな〱武士も及ばぬ御所存百万強敵かうてきふせぐ共左程に性根しやうねはすはらぬ物貴公の一心をかり請我々か手本とし敵師直を討ならばたとへ巌石かんせきの中にこも鉄洞てつとうの内に隠るゝ共やはか仕損しそんじ申べき人有中にも人なしと申せ共町家の中もあれば有物一味徒とうの者共の為には生土うぶすな共氏神共たつとみ奉らずんば御おんめう盡果つきはてませう静謐せいひつの代にはけん者も顕はれずヘヱヽおしいかなくやしいかな亡君ほうくん御存生の折ならば一方のはた大将一国の政道せいたうお預申た迚惜からぬ御器量きりやう是に並ぶ大わし文吾矢間やさま重太郎を始め小寺高松堀尾板倉片山等つぶれし眼を開する妙薬名醫めいゐの心こんかたし〱とすさつて三ばい人々もぶこつの段まつぴらとたゝみかしらをすり付るヤレそれは御迷惑めいわくお手上られて下さりませ惣体そうたい人と馬には乗て見

ウ:見込で

ハル:一大事ハル

ウ:此

ウ:お疑ひ

色:申さね共

詞:馴染

地:所詮,ウ:所詮地/ウ

ウ:古朋輩の

ウ:せまじき

ウ:麁忽の

中:まつぴら

詞:花は

地:いつかな,ハル:いつかな地/ハル

ウ:百万騎の

ウ:左程に

ウ:貴公の

ウ:敵

ウ:巌石の

ウ:鉄洞の

ウ:やはか

色:申べき

詞:人

地色:一味,ウ:一味地色/ウ

ハル:為にはハル

ウ:生土共

上:御恩の

中:盡果ませう

詞:静謐の

地:悔しいかな,フシ:悔しいかな地/フシ

地:亡君,中:亡君地/中

ハル:折ならばハル

ウ:一方の

ウ:一国の

ウ:お預

中:御器量

詞:是に

地色:妙薬,ハル:妙薬地色/ハル

ウ:有難し

ウ:ぶ骨の

スヱ:畳にスヱ

中:摺付る

詞:ヤレ