はあ〱あやぶむ中へかけ出る大星力弥捨たる鑓を取手も見せず本蔵が馬手のあばら弓手へ通れと突通すうんと斗にかつぱとふすコハ情なやと母娘取付歎くに目もかけずとゞめ指んと取直すヤア待力弥早まるなと鑓引留て由良助手負に向ひ一別以来珍らしし本蔵殿御斗略の念願とゞき婿力弥が手にかゝつて嘸本望でござらふのと星をさいたる大星が詞に本蔵目を見開き主人の鬱憤を晴さんと此程の心遣ひ遊所の出合に氣をゆるませ徒党の人数は揃ひつらん思へば貴殿の身の上は本蔵が身に有べき筈当春靏が岡造営の砌主人桃井若狭助高師直に恥しめられ以の外憤り某を蜜に召れまつかう〱の物語明日御殿にて出くはせ一刀に討留ると思ひ詰たる御顔色とめてもとまらぬ若氣の短慮小身故に師直に賄賂薄きを根に持て恥しめたると知たる故主人にしらせずふ相應の金銀衣服臺の物師直へ持参して心に染ぬ諂ひも主人を大事と存るから賄賂負せあつちから誤つて出た故に切に切れぬ拍子ぬけ主人が恨もさらりと晴相手かはつて塩冶殿の難義と成たは則其日相手死ずば切腹にも及ぶまじと抱とめたは思ひ過した本蔵が一生の誤りは娘が難
はあ〱あやぶむ中へかけ出る大星力弥捨たる鑓を取ル手も見せず本蔵が馬手のあばら弓ン手へ通れと突通すうんと斗にかつぱとふすコハ情なやと母娘取リ付キ歎くに目もかけずとゞめ指んと取直すヤア待テ力弥早まるなと鑓引留て由良ノ助手負に向ひ一チ別以来珍らしし本蔵殿御斗略の念ン願とゞき婿力弥が手にかゝつて嘸本ン望でござらふのと星をさいたる大星が詞に本蔵目を見開き主人の鬱憤を晴さんと此程の心遣ひ遊所の出合に氣をゆるませ徒党の人ン数は揃ひつらん思へば貴殿ンの身の上は本蔵が身に有べき筈当春靏が岡造営の砌主人桃ノ井若狭ノ助高ノ師直に恥しめられ以テの外憤り某を蜜に召サれまつかう〱の物語明日御殿ンにて出ツくはせ一ト刀に討チ留ムると思ひ詰たる御顔色とめてもとまらぬ若氣の短慮小身ン故に師直に賄賂薄きを根に持ツて恥しめたると知ツたる故主人にしらせずふ相應の金銀衣服臺の物師直へ持参ンして心に染ぬ諂ひも主人を大事と存るから賄賂負せあつちから誤つて出た故に切ルに切ラれぬ拍子ぬけ主人が恨もさらりと晴相手かはつて塩冶殿の難ン義と成ツたは則チ其日相手死ずば切ツ腹にも及ぶまじと抱とめたは思ひ過した本蔵が一生の誤りは娘が難ン
フシ:あやぶむフシ
地:かけ,ハル:かけ地/ハル
ウ:捨たるウ
ウ:馬手のウ
ウ:弓手へウ
ウ:うんとウ
ウ:コハウ
スヱ:取付スヱ
ウ:目もウ
ウ:とゞウ
色:取直す色
詞:ヤア詞
地:鑓,ハル:鑓地/ハル
色:手負に色
詞:一別詞
地:星を,ウ:星を地/ウ
ハル:大星がハル
ウ:詞にウ
中:見開き中
詞:主人の詞
ウ:思ひ詰たるウ
地:とめても,ウ:とめても地/ウ
ハル:若氣のハル
詞:小身詞
地:相手,ハル:相手地/ハル
上:難義と上
中:其中
詞:相手詞
地:一生の,ハル:一生の地/ハル