の向ひの淡路嶋山といふ事しらぬか自慢の庭でも内の酒は呑ぬ〱エヽ通らぬやつ〱サア〱奥へ〱奥はどこにぞお客が有と先に立て飛石の詞もしどろ足取もしどろに見ゆる酒機嫌お戻そふなと女房のお石が軽う汲で出る茶屋の茶ゟも氣の端香お寒からふと悋氣せぬ詞の塩茶酔醒し一口呑で跡打明ヱ奥無粋なぞや〱折角面白酔た酒さませとはアヽヽアヽ降たる雪かないかに余所のわろ達が嘸悋氣とや見給ふらんそれ雪は打綿に似て飛で中入と成奥はかゝさまといへはとつと世帯じむといへり加賀の二布へお見廻の遅いは御用捨伊勢海老と盃穴の稲荷の玉垣は朱ふなければ信がさめるといふ様な物かいヲイこれ〱〱こぶら返りじや足の大指折た〱おつとよし〱次手にかうじやと足先でアヽこれほたへさしやんすな嗜しやんせ酒が過るとたはいがないほんに世話でござらふのと物やはらかにあいしらふ力弥心得奥より立出申〱母人親父様は御寝なつたか是上られいと指出す親子が所作を塗分ても下地は同じ桐枕ヲヽヲヽ應は夢現イヤもふ皆いにやれハイ〱〱そんならは旦那へ宜しう若旦那ちと御出を目遣ひでいに際わるう帰りける声
の向ひの淡路嶋山といふ事しらぬか自慢の庭でも内の酒は呑メぬ〱エヽ通らぬやつ〱サア〱奥へ〱奥はどこにぞお客が有ルと先キに立ツて飛石の詞もしどろ足取もしどろに見ゆる酒機嫌お戻そふなと女房のお石が軽う汲で出る茶屋の茶ゟも氣の端香お寒からふと悋氣せぬ詞の塩茶酔醒し一ト口呑ンで跡打明ケヱ奥無粋なぞや〱折角面白酔た酒さませとはアヽヽアヽ降たる雪かないかに余所のわろ達が嘸悋氣とや見給ふらんそれ雪は打綿に似て飛ンで中入と成奥はかゝさまといへはとつと世帯じむといへり加賀の二布へお見廻イの遅いは御用捨伊勢海老と盃穴の稲荷の玉垣は朱ふなければ信がさめるといふ様な物かいヲイこれ〱〱こぶら返りじや足の大指折ツた〱おつとよし〱次イ手にかうじやと足先キでアヽこれほたへさしやんすな嗜しやんせ酒が過るとたはいがないほんに世話でござらふのと物やはらかにあいしらふ力弥心得奥より立出申シ〱母人親父様は御寝なつたか是上ケられいと指出す親子が所作を塗分ケても下地は同じ桐枕ヲヽヲヽ應は夢現イヤもふ皆いにやれハイ〱〱そんならは旦那へ宜しう若旦那ちと御出を目遣ひでいに際わるう帰りける声
地:奥は,ウ:奥は地/ウ
ハル:先にハル
中:飛石の中
ウ:詞もウ
キン:しどろに,ヲクリ:しどろにキン/ヲクリ
中:見ゆる中
ハル:酒機嫌ハル
ウ:お戻そウ
ウ:女房のウ
ウ:茶屋のウ
ウ:お寒からふウ
フシ:酔醒しフシ
地:一口,ハル:一口地/ハル
色:跡色
詞:ヱ詞
文弥:いかに,詞:いかに文弥/詞
地:それ,上:それ地/上
詞:奥は詞
地:加賀の,ハル:加賀の地/ハル
ナヲス:お見廻のナヲス
詞:遅いは詞
地色:次手に,ウ:次手に地色/ウ
ハル:足先でハル
詞:アヽ詞
地色:ほんに,ハル:ほんに地色/ハル
フシ:物やはらかにフシ
地:力弥,ハル:力弥地/ハル
色:立色
詞:申詞
地:是,ウ:是地/ウ
ハル:塗ハル
ウ:下地はウ
中:桐枕中
詞:イヤ詞
地:若旦那,ウ:若旦那地/ウ
ハル:御出をハル
フシ:いに際フシ
地:声,ウ:声地/ウ