殿廿
女房と⊗イヱしらずじやぞへ親夫の恥なれば明して何の云ませう⊗ムウすりや本放埒ほうらつ者お主のあたほうずる所存はないに極たな⊗イヱ〱これ兄様有ぞへ〱高うはいはれぬコレかう〱とさゝやけば⊗ムウすりや其文をたしかに見たな⊗残らずよんだ其跡で互に見合顔と顔それからじやらつき出してつゐ身請の相談さうたん⊗アノ其文残らずよんだ跡で⊗アイナ⊗ムウそれで聞へた妹とてものがれぬ命身共にくれよとぬき打にはつしと切は⊗ちやつと飛のきコレ兄さんわしには何あやまり勘平といふ夫も有急度きつと親有からはこなさんのまゝにも成まい請出されて親夫に逢ふと思ふがわしやたのしみどんな事でもあやまらふゆるして下んせ赦してと手を合すれば⊗平右衛門身を捨てどうと伏ひたんの涙にくれけるが可愛かはいや妹何にもしらぬな親与市兵衛殿は六月廿九日の夜人に切れてお果なされた⊗ヤアそれはまあ⊗コリヤまだびつくりすな請出されそはふと思ふ勘平も腹切て死だはやい⊗ヤア〱〱それはまあほんかいのコレのふ〱と取付てわつと斗に泣しづむ⊗ヲヽ道理〱様子咄せばながい事おいたはしいは母者人云出しては泣思ひ出しては泣娘かるに聞したら泣死にするであろ必いふてくれなとのお頼いふまいと思へ共迚ものがれぬそちが命其わけは忠義一

地:コレ

ハル:かうハル

詞:ムウ

地色:身共にく,ウ:身共にく地色/ウ

ハル:抜打にはつハル

詞:ちやつと

地:請出されて親,ハル:請出されて親地/ハル

ウ:逢ふと思

ウ:どんな

上:赦して

ウ:手を

キン:合すればキン

ウ:平右衛門

上:抜身を捨

フシ:どうと,中:どうとフシ/中

ノル:ひたんノル

ハル:涙にハル

詞:可愛や

地色:ヤア,ハル:ヤア地色/ハル

上:それは

ウ:ほんかいの

ウ:のふ

ウ:取付てわつ

スヱテ:わつと斗に泣沈スヱテ

中:泣沈む⊗

詞:ヲヽ