殿
⊗おかる請出そふ⊗ヱヽ⊗うそでない證拠しやうこ今宵こよひの内に身請せう⊗ムウいやわしには⊗間夫まぶが有ならそはしてやろ⊗そりやまあほんかへ⊗侍冥理めうり三日なり共かこふたらそれからは勝手次第⊗ハアヽ嬉しうござんすといはしておいてわらをでの⊗いやすく亭主ていしゆに金渡し今の間にらちさそふ氣遣せずと待てゐや⊗そんならかならすて居るぞへ⊗金渡してくる間どつちへもいきやるな女房じやぞ⊗それもたつた三日⊗それ合点⊗かたじけなうござんす世にも因果ゐんぐはな者ならわしが身じやかはい男にいくせの思ひヱヽなんじやいなおかしやんせ忍びねになくさよちどり⊗奥でうたふも身の上とおかるは思案しあん々の⊗折に出合平右衛門妹でないか⊗ヤア兄様か恥しい所で逢ましたと顔を隠せば⊗くるしうない関東くはんとうゟ戻りがけ母人に逢てくはしく聞たの為お主の為よく売れたでかした〱⊗そふ思ふて下さんすりやわしや嬉しいしたがまあ悦んで下さんせ思ひがけなう今宵こよひ出さるゝはつ⊗それは重畳ちやうてう人のお世話せわで⊗お前も御存の大星由良助様のお世話で⊗何じや由良殿に請出されるそれは下地からの馴染なじみか⊗何のいな此中ゟ二三度酒の相手夫が有そはしてやろひまがほしくば隙やろと結構けつこう過た身請⊗扨は其方を早の勘平が

三下リ:世にも,歌:世にも,ハル:世にも三下リ/歌/ハル

ウ:因果な

ウ:わし

キン:身じやキン

ウ:かはい

ウキン:いくせウキン

下:ヱヽ,ウ:ヱヽ下/ウ

ウキン:おかしやんせウキン

ハル:忍びねに,中:忍びねにハル/中

地:奥で,ハル:奥で地/ハル

フシ:身の上とフシ

ノル:おかる,中:おかるノル/中

ハル:思案ハル

地:折に出,中:折に出地/中

ウ:出合平右

詞:妹で

地:恥しい所で,ハル:恥しい所で地/ハル

ウ:逢ましたと

詞:苦しう

地:そふ,ハル:そふ地/ハル

上:下さんすりやわ

色:嬉しいし

詞:したが