殿殿殿
かしらよきでわつた程無念な共存じて四五十人一味こしらへて見たがアあぢな事のよう思ふて見れば仕損しそんじたら此方の首がころり仕負しおゝせたら跡で切腹どちらでも死ねばならぬといふは人参にんじんのんて首くゝる様な物殊に其元は五両に三人扶持の足軽お腹は立られなはつち坊主の報謝ほうしや米程取て居て命を捨て敵討しやうとはそりや青海苔あをのりもらふた礼に太々神楽かぐらを打やうな物我等知行ちぎやう千五百石貴様とくらべると敵の首を斗升とますではかる程取てもつり合ぬ〱所でやめたナ聞へたか兎角とかく浮世はかうした物じやつゝてん〱〱なぞと引かけた所はたまらぬ〱⊗是は由良助様のお詞共覚ませぬわづか三人扶持ふち取拙者めでも千五百石の御自分じぶん様でもつなぎました命は一つ御おんに高下はござりませぬ押に押れぬはお家の筋目殿の御名代もなされまするれき々様方の中へ見るかげもない私めが指加さしくはへてとお願ひ申はゞかり慮外りよぐはい共ほんのさるか人真似まね草履さうりつかんで成共お荷物にもつをかついで成共さんじませうお供に召れてナ申コレ申〱是はしたり寝てござるそふな⊗コレサ平右衛門あつたら口に風ひかすまい由良助は死人も同前矢間やさま殿千崎殿モウ本心は見へましたか申合せた通はからひませうか⊗いか様一連判れんばんの者共への見せしめいさいづれもと立寄を⊗ヤレ

ヲント:かうした,ハル:かうしたヲント/ハル

中:つゝてん

ナヲス:〱なぞとナヲス

詞:なぞと

地色:ヤレ,ハル:ヤレ地色/ハル