敷があいてござります⊗そりや又蜘の巣だらけで有ふ⊗又悪口を⊗イヤサよい年をして女郎の蜘の巣にかゝらまい用心⊗コリヤきついは下に置れぬ二階座敷ソレ灯をともせ中居共お盃おたばこ盆と高い調子にかせかけて奥は騒の太鼓三味⊗ナント伴内殿由良助が体御らうじたか⊗九大夫殿ありやいつそ氣違ひてござる段々貴様ゟ御内通有てもあれ程に有ふとは主人師直も存ぜず拙者に罷登て見届心得ぬ事あらば早速にしらせよと申付ましたが扨〱〱我もへんしも折ましてござる躮力弥めは何と致したな⊗こいつも折節此所へ参り倶に放埒指合くらぬがふしぎの一つ今晩は底の底を披見んと心工を致して参つた蜜々にお咄し申そふいざ二階へ⊗先々⊗然らばかうお出じつは心に思ひはせいであだなほれた〱の口先はいかひつやでは有はいな⊗弥五郎殿㐂多八殿是が由良助殿の遊ひ茶屋一力と申のでござるコレサ平右衛門よい時分に呼出そふ勝手に扣へておゐやれ⊗畏りました宜しう頼上ます⊗誰ぞちよと頼たい⊗アイ〱どな様じやへ⊗イヤ我々は由良殿に用事有て参つた奥へいていはふには矢間十太郎千崎弥五郎竹森㐂多八でござる此間ゟ節々迎の人を遣しますれ共お帰りのない故三人連で
敷キがあいてござります⊗そりや又蜘の巣だらけで有ふ⊗又悪ル口を⊗イヤサよい年をして女郎の蜘の巣にかゝらまい用心⊗コリヤきついは下に置カれぬ二階座敷ソレ灯をともせ中居共お盃おたばこ盆と高い調子にかせかけて奥は騒の太鼓三味⊗ナント伴内殿由良助が体御らうじたか⊗九大夫殿ありやいつそ氣違ひてござる段々貴様ゟ御内通有てもあれ程に有ふとは主人師直も存ぜず拙ツ者に罷リ登て見届心得ぬ事あらば早速にしらせよと申付ケましたが扨〱〱我もへんしも折ルましてござる躮力弥めは何ンと致したな⊗こいつも折節此所へ参り倶に放埒指合イくらぬがふしぎの一トつ今晩は底の底を披見んと心工を致して参つた蜜々にお咄し申そふいざ二階へ⊗先ツ々⊗然らばかうお出じつは心に思ひはせいであだなほれた〱の口先キはいかひつやでは有はいな⊗弥五郎殿㐂多八殿是が由良ノ助殿の遊ひ茶屋一チ力キと申スのでござるコレサ平右衛門よい時分ンに呼出そふ勝ツ手に扣へておゐやれ⊗畏りました宜しう頼上ます⊗誰レぞちよと頼たい⊗アイ〱どな様ンじやへ⊗イヤ我々は由良殿に用事有ツて参つた奥へいていはふには矢間十太郎千ン崎弥五郎竹森㐂多八でござる此間ゟ節々迎イの人を遣しますれ共お帰りのない故三人連レで
謡:高い,ハル:高い謡/ハル
ウ:奥はウ
詞:ナント詞
三下リ:じつ,歌:じつ,ハル:じつ三下リ/歌/ハル
ウ:思ひはウ
中:あだな中
ハル:ほれたハル
下:いかひ下
ハル:つやではハル
中:有はいな⊗中
詞:弥五郎殿詞