殿婿
が戻りは知まいフウそんなりやとつさんにあふてかへそれならそふといひもせでかゝ様にもわしにもあんじさしてばつかりといふに文字もにのつて七度尋て人うたがへじや親仁の所のしれたのでそつちもこつちも心がよいまだ此上にも四の五のあればいや共にでんど沙汰ざたまあ〱さらりとすんでめでたいおふくろも御ていも六条参りしてちとよらしやれサア〱かこに早うのりやアイ〱これ勘平殿もふ今あつちへいくぞへ年よつた二人の親たちどふでこな様のみんな世話取わけてとつ様はきつい持病ちびやう氣を付て下さんせと親の死目をつゆしらず頼むふびんさいぢらしさいつそ打あけありのまゝはなさんにも他人たにんと心をいためこたへゐるヲヽ婿むこどの夫婦の別れ暇乞いとまこひがしたかろけれどそなたに未練みれんな氣も出よかと思ふての事であろイヱ〱なんぼ別れてもぬしの為に身を売ば悲しうも何共ないわしやいさんで行かゝ様したがとゝ様に逢ずに行のがヲヽそれも戻らしやつたらつゐあひにいかしやろぞいのわづらはぬやうにきうすへて息災そくさいな顔見せにきてたも鼻紙はなかみ扇もなけりやふ自由じゆうな何にもよいかとばついて怪我けかやんなとかごに乗迄心を付さらばやさらばなんの因果ゐんくはで人なみな娘を持此悲しいめを見る事じやとくひしばり泣ければ娘

地色:それなら,中:それなら地色/中

ハル:かゝ様にもハル

ウ:案じさして

色:図に

詞:七度

地:親の,ハル:親の地/ハル

ウ:頼む

ウ:い,中::いウ/中:

ウ:いつそ

ハル:はなさんにハル

スヱテ:心をスヱテ

中:こた

詞:ヲヽ

地:駕に乗,ハル:駕に乗地/ハル

色:さらば

上:なんの

ウ:人並な娘

ウ:此悲

ウ:歯を

ウ:娘