退退殿婿殿調殿調婿殿調殿殿
けふから金でかひ切たからだちがへばれこづゝ違ふどふでかうせざすむまいと手を取て引立るマア〱待てと取付母親突退つきのけはね退無体むたいかごへ押込〱かきる門鉄砲てつほうみの笠打かけ戻りかゝつて見る勘平つか〱と内に入駕の内なは女房共こりやマアどこへヲヽ勘平殿よい所へよう戻つて下さつたと母の悦び其を得ずどふでもふかわけがあろ母者人女房共様子聞ふとおいゑの真中どつかとすはれば文字亭主ていしゆフウ扨はこなたが奉公人の御亭じやのたとへおとこでも何でもなつけの夫などゝ脇ゟ違乱ゐらんさまたげ無之これなく候と親仁の印形有からはこちにはかまはぬ早う奉公人を請取ふヲヽ婿殿合点がいくまい兼てこなたに金のいる様子娘の咄で聞た故どふぞ調とゝのへ進ぜたいといふた斗で一せんあてもなしそこで親父殿のいはしやるにはひよつとこなたの氣に女房うつて金調やうとよもや思ふてゞは有まいけれどもし二親の手前を遠慮ゑんりよして居やしやるまい物でもないいつそ此与市兵衛が婿殿にしらさず娘を売ふまさかの時は切取するも侍のならひ女房売ても恥にはならぬお主の役に立る金調ておましたらまんざら腹も立まいときのふから祗園ぎおん町へおりきはめにいて今に戻らしやれぬ故親子あんじて居る中へ親方殿が見へて夕部親父殿に半金渡し跡金の五十両

地色:どふで,ウ:どふで地色/ウ

ハル:引立るマアハル

ウ:待てと取

中:門の口

ウ:鉄砲に

ハル:勘平ハル

ウ:つか〱と

色:内に

詞:駕の内

地:母の,ハル:母の地/ハル

色:得ず

詞:どふでも

地:様子,ハル:様子地/ハル

ウ:どつかと

色:文字の

詞:フウ

地:どふぞ,ハル:どふぞ地/ハル

ウ:いふた斗で一銭

色:宛もな

詞:そこで