哥が是じやつまならぬつまな重ねそアヽ貞女〱ア其元はあやかり物登城も遅なはる筈の事内に斗へばり付てござるによつて御前の方はお構ひないじやと当こする雑言過言あちらの喧𠵅の門違ひとは判官さらに合点行ずむつとせしが押しづめハヽ〱〱是は〱師直殿には御酒機嫌か御酒参つたのいつもらしやつたイヤいつ呑ました御酒下されても呑いでも勤る所は急度勤る貴公はなぜ遅かつたの御酒参つたかイヤ内にへばり付てござつたか貴殿より若狭助殿アヽ格別勤られますイヤ又其元の奥方は貞女といひ御器量と申手跡は見事御自慢なされむつとなされなうそはないはさ今日御前にはお取込手前迚も同然其中へ鼻毛らしいイヤ是は手前が奥が哥でござるそれ程内が大切なら御出御無用惣体貴様の様な内に斗居る者を井戸の鮒じやといふ譬が有聞て置しやれ彼鮒めが僅三尺か四尺の井の内を天にも地にもない様に思ふてふ断外を見る事かない所に彼井戸がへに釣瓶に付て上りますそれを川へ放しやると何が内に斗居る奴じやによつて悦んで途を失ひ橋杭で鼻を打て即座にぴり〱〱〱と死ます貴様もてうど鮒と同し事ハヽ〱〱と出ほうだい判官腹にすへ兼こりやこなた狂氣めさつたかイヤ氣が違ふたか師直シヤこいつ武士をとらへて氣違とは出頭第一の高師直ムヽすりや今
哥が是じやつまならぬつまな重ねそアヽ貞女〱ア其元はあやかり物登城も遅なはる筈の事内に斗へばり付イてござるによつて御前の方はお構ひないじやと当テこする雑言過言あちらの喧𠵅の門違ひとは判官さらに合点行ずむつとせしが押シしづめハヽ〱〱是は〱師直殿には御酒機嫌か御酒参つたのいつもらしやつたイヤいつ呑ミました御酒下されても呑いでも勤る所は急度勤る貴公はなぜ遅かつたの御酒参つたかイヤ内にへばり付イてござつたか貴殿ンより若狭ノ助殿アヽ格別勤られますイヤ又其元の奥方は貞女といひ御器量と申シ手跡は見事御自慢なされむつとなされなうそはないはさ今ン日御前ンにはお取リ込手前迚も同然其中へ鼻毛らしいイヤ是は手前が奥が哥でござるそれ程内が大切なら御出御無用惣体貴様の様な内に斗居る者を井戸の鮒じやといふ譬が有聞イて置カしやれ彼鮒めが僅三尺か四尺の井の内を天にも地にもない様に思ふてふ断外トを見る事かない所に彼井戸がへに釣瓶に付イて上りますそれを川へ放しやると何が内に斗居る奴じやによつて悦んで途を失ひ橋杭で鼻を打て即座にぴり〱〱〱と死ます貴様もてうど鮒と同し事ハヽ〱〱と出ほうだい判官腹にすへ兼こりやこなた狂氣めさつたかイヤ氣が違ふたか師直シヤこいつ武士をとらへて氣違イとは出頭第一の高ノ師直ムヽすりや今
地色:当こする,ウ:当こする地色/ウ
ウ:あちらのウ
ハル:判官ハル
ウ:むつとウ
色:押しづめ色
詞:ハヽ詞
地:出ほう,ウ:出ほう,フシ:出ほう地/ウ/フシ
地:判官,ハル:判官地/ハル
色:すへ兼色
詞:こりや詞