でつかちないお拵へ都からのお客人きのふは靏が岡の八幡へ御社参おびたゞしいお物入アヽ其銀の入目がほしい其銀が有たら此可介名を改めて楽しむになア何じや名を改めて楽しむとは珍らしいそりや又何と替るハテ角助と改て胴を取て見る氣ナニばかつつらなわりや知ないかきのふ靏が岡で是の旦那若狭助様いかふぶ首尾で有たげな子細はしらぬが師直殿が大きな恥をかゝせたと奴部屋の噂定て又無理をぬかしてお旦那をやり込おつたであろとさがなき口々ヤイ〱何をざは〱とやかましいお上の取沙汰殊に御前の御病氣お家の恥辱に成事あらば此本蔵聞流し置べきや禍は下部の嗜掃除の役目仕廻たら皆いけ〱と和らかに女小性か持出るたばこ輪をふく雲をふく廊下おとなふ衣の香や本蔵がほんさうの一人娘の小浪御寮母のとなせ諸共にしとやかに立出れば是は〱両人共御前のお伽は申さいで自身の遊びかふ行義千万イヱ〱今日は御前様殊外の御機嫌今すや〱とお休それでナア母様イヤ申本蔵殿先程御前の御物語きのふ小浪が靏が岡へ御代参の帰るさ殿若狭助様高師直殿詞諍ひ遊ばせしとの御噂たがいふとなくお耳に入それは〱きついお案じ夫本蔵子細くはしく知ながら自に隠すのかやとお尋遊ばす故小浪に様子を尋れば是もわたしと同じ事
でつかちないお拵へ都からのお客人きのふは靏が岡の八幡へ御社参おびたゞしいお物入リアヽ其銀の入目がほしい其銀が有たら此可介名を改めて楽しむになア何ンじや名を改めて楽しむとは珍らしいそりや又何ンと替るハテ角助と改メて胴を取ツて見る氣ナニばかつつらなわりや知ないかきのふ靏が岡で是の旦那若狭ノ助様いかふぶ首尾で有ツたげな子細はしらぬが師直殿が大きな恥をかゝせたと奴部屋の噂定メて又無理をぬかしてお旦那をやり込メおつたであろとさがなき口々ヤイ〱何をざは〱とやかましいお上の取沙汰殊に御前の御病氣お家の恥辱に成ル事あらば此本蔵聞流し置クべきや禍は下モ部の嗜掃除の役目仕廻たら皆いけ〱と和らかに女小性か持出るたばこ輪をふく雲をふく廊下おとなふ衣の香や本蔵がほんさうの一ト人娘の小浪御寮母のとなせ諸共にしとやかに立出れば是は〱両人共御前のお伽は申さいで自身の遊びかふ行義千万ンイヱ〱今日は御前様殊外の御機嫌今すや〱とお休それでナア母様イヤ申シ本蔵殿先キ程御前の御物語きのふ小浪が靏が岡へ御代参の帰るさ殿若狭ノ助様高ノ師直殿詞諍ひ遊ばせしとの御噂たがいふとなくお耳に入それは〱きついお案じ夫ト本蔵子細くはしく知リながら自に隠すのかやとお尋遊ばす故小浪に様子を尋れば是もわたしと同じ事
地色:おつたで地色
フシ:さがなきフシ
詞:ヤイ〱詞
地:〱と,ウ:〱と地/ウ
ハル:女小性かハル
中:出る中
ウ:たばこウ
本フシ:廊下本フシ
ハル:おとなふハル
地:本蔵が,中:本蔵が地/中
ウ:ほんさうのウ
ウ:一人娘のウ
ハル:小浪ハル
ウ:母のウ
色:立出れば色
詞:是は詞