お帰りと追立ればきやつ扨はけどりしと弱味よはみをくはぬかうの師直ヤア又してもいはれぬ出過立てよければ身が立す此度の御役目首尾しゆびようつとめさせくれよと塩冶が内證ないしやうかほよの頼そふなくて叶はぬはづ大名でさへあの通り小身しやうしん者に捨知行ちぎやう誰がかげでとらする師直が口一つで五器ごきさげふもしれぬあぶない身代それでも武士と思ふじや迄と邪魔じやま返報へんぽうにくて口くはつとせき立若狭助刀のこゐ口くだくる程にぎつめは詰たれ共神前也御前也と一たん堪忍かんにんも今一が生死の言葉のさき手くはんぎよぞとみさきをはらふ声々にせんかたなくものばす無念は胸に忘られず悪さかつてうんつよく切れぬ高の師直をあすの我身の敵共知らぬ塩冶が跡押へ直義公はゆふ〱と歩御ほぎよ給ふ御威勢ゐせい人の兜の龍頭たつがしら御蔵に入る数々も四十七字のいろはわけかなの兜をやはらげて兜頭巾づきんのほころびぬ国のおきてぞ久かたの第二空も弥生やよひのたそかれ時桃井もゝのゐ若狭助安近やかたの行義はき掃除さうぢお庭の松も幾千代をまもる館の執権職しつけんしよく加古川かこがは蔵行国年五十いそじふん別盛べつざかり上下ため付書院先あゆみくる共白洲しらすの下人ナント関内此間はお上には

地:きやつ,ウ:きやつ地/ウ

ハル:弱味をハル

ウ:師直

詞:ヤア

地:邪魔の,ハル:邪魔の地/ハル

ウ:若狭助刀

ウ:刀の

スヱテ:握りスヱテ

ハル:せんかたなくもハル

ウ:期を

ウ:胸に

中:忘られず

ウ:悪事

ウ:切れぬ

ハル:師直をハル

ウ:あすの

ウ:敵共

中:知らぬ,キン:知らぬ中/キン

ウ:跡押へ

ウ:直義公は

ハル:成ハル

ウ:人の

ウ:四十七字の

ウ:いろは

ウ:かなの

ウ:ほころびぬ

三重:久かたの三重

ハルフシ:空もハルフシ

中:たそかれ時

地:桃井,ウ:桃井地/ウ

ハル:安近のハル

ウ:館の

中:はき

ウ:お庭の

ハル:執権職ハル

ウ:加古川

ウ:年も

フシ:上下フシ

地:あゆみ,ハル:あゆみ地/ハル

色:白洲の

詞:ナント