くゝつて面縛させよ亀井駿河と腹立の声にかけくる二人の勇士裾はせ折て忠信が弓手馬手に反打かけ委細あれにて皆聞たサア腕廻せ四郎兵衛静御前の御行衛サア明白に白状せよ踏付て縄かけふか拷問して云せうかサアどふじやサアどふじやとせりかけられてせん刀指添共に投出し両人待た麁忽すな待とは但云訳有かサア聞ふサアなんと〱〱に難義の最中静御前の御供申四郎兵衛忠信殿御出也と奏者が声に人々仰天何忠信が又来たとは合点行ずと聞もあへず以前の忠信立上り我名をかたるは何でも曲者引くゝつて大将への面晴せんとかけ行をヤアならぬ〱詮義の済迄動さぬと亀井が向ふをさゝへたりヤアさなせそ六郎忠信是に有上に又忠信が静を同道何にもせよ子細そあらん片時も早く是へ通せあつと亀井は次の間へ我身あやぶむ忠信は黙して様子を窺へば別れ程へし君が顔見たさ逢たさとつかはと河連が奥の亭歩くる間もとけしなくノウ我君かなつかしやと人目いとはずすがり付恋し床しの溜々を涙の色にしらせけりヲヽ女心に歎は尤別れし時云聞せしごとく人の情に預る義経輪廻きたなき振舞ならねばつれなくはもてなしたり忠信を同道とやいづくに有と尋給へばたつた今次の間迄連立て参りしが爰へはまだかと見廻し
くゝつて面縛させよ亀井駿河と腹立の声にかけくる二人の勇士裾はせ折て忠信が弓ン手馬手に反打かけ委細あれにて皆聞たサア腕廻せ四郎兵衛静御前の御ン行衛サア明イ白に白状せよ踏付ケて縄かけふか拷問して云せうかサアどふじやサアどふじやとせりかけられてせん刀指添共に投出し両人待アた麁忽すな待テとは但云訳有ルかサア聞ふサアなんと〱〱に難義の最中静御前の御ン供申シ四郎兵衛忠信殿御出也と奏者が声に人々仰天何忠信が又来たとは合点行ずと聞もあへず以前ンの忠信立上り我名をかたるは何ンでも曲者引くゝつて大将への面晴せんとかけ行をヤアならぬ〱詮義の済迄動さぬと亀井が向ふをさゝへたりヤアさなせそ六郎忠信是に有ル上に又忠信が静を同道何にもせよ子細そあらん片時も早く是へ通せあつと亀井は次の間へ我身あやぶむ忠信は黙して様子を窺へば別れ程へし君が顔見たさ逢たさとつかはと河連が奥の亭歩くる間もとけしなくノウ我君かなつかしやと人目いとはずすがり付キ恋し床しの溜々を涙の色にしらせけりヲヽ女心に歎クは尤別れし時云聞せしごとく人の情に預カる義経輪廻きたなき振舞ならねばつれなくはもてなしたり忠信を同道とやいづくに有リと尋給へばたつた今次の間迄連レ立ツて参りしが爰へはまだかと見廻し
地:声に,ハル:声に地/ハル
ウ:裾ウ
ウ:弓手ウ
色:反色
詞:委細詞
地:サア,ウ:サア地/ウ
ハル:どふじやハル
ウ:せん刀ウ
ウ:指添ウ
ウ:両人ウ
色:麁忽色
詞:待とは詞
地:〱〱に,ハル:〱〱に地/ハル
ウ:難義のウ
色:最中色
詞:静御前の詞
地:奏者が,ウ:奏者が地/ウ
ハル:人々ハル
ウ:何ウ
ウ:来たとはウ
ウ:行ずとウ
ウ:以前のウ
色:立上り色
詞:我詞
地:引くゝつて,ハル:引くゝつて地/ハル
ウ:面晴ウ
詞:ヤア詞
ウフシ:さゝへたりウフシ
詞:ヤア詞
地色:あつと,ハル:あつと地色/ハル
ウ:次のウ
フシ:黙してフシ
ハルフシ:別れハルフシ
中:君が中
ハル:見たさハル
ウ:とつかはとウ
ウ:河連がウ
ウ:歩ウ
ウ:我ウ
ウ:人目ウ
フシ:涙のフシ
詞:ヲヽ詞
地:忠信を,ウ:忠信を地/ウ
ハル:いづくにハル
ウ:有ウ
色:尋色
詞:たつた詞
地色:爰へは,ウ:爰へは地色/ウ
ハル:見廻しハル