早いお帰り今日の御評定一山のお仕置か但は又奥のお客義経様の御事かはと尋ばヲヽサ〱義経の事共〱ムヽウ扨は吉野一山残らずお味方といふ様な品にもや成程〱衆徒の中にも返坂の薬医坊山科の荒法橋梅本の鬼佐渡等別しては横川の覚範一はな立て義経の味方といふは我心を捜見ると知たる故此法眼は鎌倉方と云放つて帰つたりムウ鎌倉方とおつしやるは衆徒の心をこちからも捜て見る御了簡イヤ〱法眼けふより心を改め義経とは敵味方ヱヽイあのお前は義経様をヲ鎌倉殿へ討て出す氣合点行ずば是見よと懐中の書翰投出せは手に取上文言残らず読終りムウ義経公此山に御忍びまします事鎌倉へ知たやうな文躰ヲヽいかにも汝がいふごとく天に口なし人を以ていはしむる告知せた者なくて小舅の茨左衛門かくいふて越べきや内通せられて知たる上は遁れなき判官殿人に手柄させんより我手にかけて討所存アノそれは真実か応イヤほん〲にこな様は義経公を切心かくどい〱ハアはつととむねも突詰し夫が刀抜より早く自害と見ゆる女房が持たる刃物ひつたくりこりや何とする何で死といふ顔きつと打守りヱヽ聞へぬぞや法眼殿なぜ隔ては下さるぞ恩賞の御下し文千通万通来た迚も一旦の契約変ずるこなたの氣質じやない鎌倉殿の
早いお帰り今日の御評定一山ンのお仕置キか但シは又奥のお客義経様の御事かはと尋レばヲヽサ〱義経の事共〱ムヽウ扨は吉野一山ン残らずお味方といふ様な品にもや成程〱衆徒の中にも返リ坂の薬医坊山科の荒法橋梅本の鬼佐渡等別しては横川の覚範一チはな立ツて義経の味方といふは我心を捜見ると知ツたる故此法眼は鎌倉方と云放つて帰つたりムウ鎌倉方とおつしやるは衆徒の心をこちからも捜て見る御了簡イヤ〱法眼けふより心を改め義経とは敵味方ヱヽイあのお前は義経様をヲ鎌倉殿へ討ツて出す氣合点行ずば是見よと懐中の書翰投ケ出せは手に取上文ン言残らず読終りムウ義経公此山に御忍びまします事鎌倉へ知たやうな文躰ヲヽいかにも汝がいふごとく天に口なし人を以ツていはしむる告知レせた者なくて小舅の茨左衛門かくいふて越べきや内通せられて知レたる上は遁れなき判官殿人に手柄させんより我手にかけて討ツ所存ンアノそれは真実か応イヤほん〲にこな様は義経公を切ル心かくどい〱ハアはつととむねも突詰し夫トが刀抜より早く自害と見ゆる女房が持ツたる刃物ひつたくりこりや何とする何ンで死といふ顔きつと打守りヱヽ聞へぬぞや法眼殿なぜ隔ては下さるぞ恩賞の御下し文千ン通万通来た迚も一ツ旦の契約変ずるこなたの氣質じやない鎌倉殿の
地:お仕,中:お仕地/中
ウ:義経様のウ
ハル:御事かはハル
色:尋ば色
詞:ヲヽサ詞
地:懐中の,中:懐中の,ウ:懐中の地/中/ウ
ハル:文言ハル
色:読終り色
詞:ムウ詞
地:ハア,ハル:ハア地/ハル
スヱ:とむねもスヱ
ウ:突詰しウ
ウ:夫がウ
ウ:自害とウ
ウ:持たるウ
色:ひつたくり色
詞:こりや詞
地色:いふ,ハル:いふ地色/ハル
色:打守り色
詞:ヱヽ詞