便
権太郎が最期さいごもちかし死目しにめあふて下されととむるにせき上弥左衛門現在げんざい血を分せがれを手にかけどふ死目にあはれうぞ死だを見ては一足もあるかるゝ物かいのいきは叶はぬ迄も助る事も有ふかと思ふがせめての力草ちからぐさとめるそなたがどうよくと云て泣出てゝ親に母は取娘は猶不便〱と惟盛の首には輪袈裟わげさ手に衣手向たむけの文もあのくたら三みやく三菩提ぼだいのかどで高雄高野たかをたかのへ引わくる夫婦の別れに親子の名残なごり手負は見おくる顔と顔思ひはいづれ大和芳野よしのにのこる名物めいぶつこれもり弥助といふ鮓屋今にさかふる花の里其名も高くあらはせり第四道行初音旅はつねのたひ恋と忠義はいづれがおもいかけて思ひははかりなやちうまことのものゝふに君が情とあづけられ静に忍ぶ都をば跡に見すてたびてつくらぬなりも義経の御行末は難波津なにはづなみにゆられてたゞよひて今は芳野よしのと人づてのうはさを道のしほりにて大和路やまとぢ〽さして〽したひ行野路のぢもなれぬしげみのまがひ道弓手ゆんでもめても若草わかくさを分つゝ行ばあさる雉子きゞすのぱつと立てはほろゝけん〱ほろゝうつ

地:死目に,ハル:死目に地/ハル

上:逢て下されと

ウ:留るに

色:弥左衛門

詞:現在

地色:助る,ハル:助る地色/ハル

上:有ふかと

ウ:思ふが

入:せめての

ウ:留る

ウ:云て

キン:母はキン

ウ:〱

ウ:首には

ウ:手に

中:あのくたら

ウ:三みやく

ハル:三菩提のハル

ウ:高雄

ウ:夫婦の

中:名残

ウ:手負は

ハル:顔とハル

ウ:思ひは

ウ:芳野に

ウ:これもり

ウ:今に

ウ:花の

歌:恋と,ハル:恋と歌/ハル

ウ:忠義は

中:おもい

キン:かけてキン

ナヲス:はかりなや,フシ:はかりなやナヲス/フシ

中:忠と

スヱ:君が,ハル:君がスヱ/ハル

中:預られ

ウ:静に

ウ:跡に

ウ:御行末は

ウ:波津

フシ:たゞよひてフシ

中:今は

ウ:噂を

ユリ:大和路,フシ:大和路,ヲクリ:大和路ユリ/フシ/ヲクリ

色:さして,ヲクリ:さして色/ヲクリ

ハル:行ハル

中:野路も

ハルフシ:なれぬハルフシ

中:しげみの

ウ:弓手も

ウ:分つゝ

ハル:行ばハル

ウ:あさる

ウ:ほろゝ

ウキン:ほろゝウキン