はつと泣目も晴いかゞはせんと俄の仰天お里はさそくに心付先々親の隠居屋敷上市村へと氣をあせるげに其事は弥左衛門我にも教へ置しかど最早ひらかぬ平家の運命検使を引請いさぎよふ腹かき切んと身拵へ内侍は悲しくコレ此若の幼氣ざかりを思召一先爰をとむりやりに引立給へば惟盛も子に引さるゝ後髪是非なく其場を落給ふ御運の程ぞ危けれ様子を聞たかいがみの権太勝手口より踊出お觸の有た内侍六代惟盛弥助めせしめてくれんと尻ひつからげかけ出すをコレ待てとお里は取付兄様是は一生のわたしが願ひ見赦して下されと頼めど聞ずはね飛し大金になる大仕事邪魔ひろぐなとすがるを蹴倒しはり飛し最前置し銀の鮓桶是忘れてはと提て跡を慕ふて追て行ノウとゝ様かゝ様とお里が呼声弥左衛門母もかけ出何事ととへば娘はコレ〱〱都から惟盛様の御臺若君尋さまよひお出有つもる咄の其中へ詮義にくるとしらせを聞三人連て上市へ落しましたを情ない兄様が聞て居て討取か生捕て褒美にするとたつた今追かけてといふより恟り弥左衛門ソレ一大事と嗜の朱鞘の脇指腰にぼつ込かけ出す向ふへハイ〱〱と矢はづの挑燈梶原平蔵景時家来数多にじつてい持せ道を塞でヤア耄め何所
はつと泣目も晴いかゞはせんと俄の仰天お里はさそくに心付キ先ツ々々親の隠居屋敷上市村へと氣をあせるげに其事は弥左衛門我にも教へ置キしかど最早ひらかぬ平家の運命検使を引請ケいさぎよふ腹かき切んと身拵へ内侍は悲しくコレ此若の幼氣ざかりを思召シ一ト先ツ爰をとむりやりに引立給へば惟盛も子に引カさるゝ後髪是非なく其場を落給ふ御運の程ぞ危けれ様子を聞たかいがみの権太勝手口より踊出お觸の有た内侍六代惟盛弥助めせしめてくれんと尻ひつからげかけ出すをコレ待ツてとお里は取付キ兄様是は一生のわたしが願ひ見赦して下されと頼めど聞ずはね飛し大金になる大仕事邪魔ひろぐなとすがるを蹴倒しはり飛し最前置キし銀の鮓桶是忘れてはと提て跡を慕ふて追て行ノウとゝ様かゝ様とお里が呼声弥左衛門母もかけ出何事ととへば娘はコレ〱〱都から惟盛様の御臺若君尋さまよひお出有リつもる咄の其中へ詮義にくるとしらせを聞三人連レて上市へ落しましたを情ない兄様が聞て居て討取ルか生捕て褒美にするとたつた今追かけてといふより恟り弥左衛門ソレ一チ大事と嗜の朱鞘の脇指腰にぼつ込ミかけ出す向ふへハイ〱〱と矢はづの挑燈梶原平蔵景時家来数多にじつてい持タせ道を塞でヤア耄め何所
スヱ:いかゞはスヱ
ウ:俄のウ
ウ:お里はウ
色:心付色
詞:先詞
地:氣を,フシ:氣を地/フシ
詞:げに詞
地色:検使を,ウ:検使を地色/ウ
ウ:腹ウ
ハル:内侍はハル
ウ:此ウ
ウ:一先ウ
中:惟盛も中
ウ:子にウ
地色:様子を,ハル:様子を地色/ハル
色:踊出色
詞:お觸の詞
地:惟盛,ハル:惟盛地/ハル
ハツミフシ:せしめてハツミフシ
ウ:待てウ
色:取付色
詞:兄様詞
地色:頼めど,ハル:頼めど地色/ハル
中:はね飛し中
ウ:大金にウ
ウ:すがるをウ
ウ:最前ウ
ウ:是ウ
フシ:跡をフシ
詞:ノウ詞
地色:お里が,ハル:お里が地色/ハル
色:コレ色
詞:都から詞
地色:いふより,ハル:いふより地色/ハル
ウ:ソレウ
色:向ふへ色
ハル:矢はづのハル
ウ:家来ウ
色:塞で色
詞:ヤア詞