殿殿
殿殿
たを見捨置ていづくをあてに行物ぞ死ともにと座し給へばヘヱヽふがひない六代様は大事にないか此手で死る金吾めではござりませぬ聞入なければすぐに切腹せつぷくコレ待てたも夫程に迄思やるなら成程先へ落ませうかならずでたもるなやお氣遣ひ遊ばすなうんに叶ひ跡より参ろ必待て居るぞやといふ間も近付挑燈ちやうちんかげに恐れ是非ぜひなくも若君連て落給ふ御心根のいたはしさ手負ておひは御跡見送り〱死ぬと申せしはいつはり三千世界のうんかつても何の此手で生られませう内侍様六代様是が此世のお別でござりますと思ふ心もだんまつま知死期ちしご六つの暮あしたの露ときへにける程なく来る挑燈ちやうちんは此村の五人組何やらざは〱咄山坂のわかしよさくが立留りコレ弥助の弥左衛門殿貴様は鮓商売すししやうばい故念おすにおしかける今云付た鎌倉の侍は聞及んだげぢ〱何やらこなたの耳をねぶつてはげる程云たらかしこまつた〱とめつたむしやうに受合たが何と覚の有事かやハテ知た事こなた衆もつねからおれが性根しやうねを知ぬか血を分せがれでも見かぎつたら門端かとばたふまさぬ弥左衛門ひざぶしがくだけてもかしこまつたらしびりもきらさぬしたが跡からの云付がもつけ嵯峨さがの奥から逃てきた子をた女と大前髪此村へ入込だと追手からのしらせ所でげぢ殿がねぶりかけてとらへたらほうと有こりや又格別かくべつよい仕事皆も油断ゆだんせまいぞやヲそれ〱こんな時こなたの息子むすこ

地:いふ,ウ:いふ地/ウ

ハル:挑燈のハル

ウ:灯かげに

上:若君,ノル:若君上/ノル

フシ:連てフシ

ウ:御心根の

ハル:いたはしさハル

ウ:手負は

色:見送り

詞:死ぬと

地:思ふ,ウ:思ふ地/ウ

ハル:知死期もハル

フシ:朝のフシ

地色:程なく,ウ:程なく地色/ウ

ハル:此ハル

ウ:何やら

中:咄合

ウ:山坂の

ハル:庄や作がハル

色:立留り

地色:皆も,ウ:皆も地色/ウ

ハル:ヲハル

ウ:こんな