西
西
大それた事聞ねばならぬそりや又どふしてどふしてとは覚が有ふおりや十五の年元服げんぷくして親父の云付御所ごせの町へ鮓商すしあきなかくびりの中に儕が振袖見込だがしやちほこふかほど寝入仏師達ぶつしたちへそくりを盗出しみせたま徳居とくゐ身躰しんだい半分仕廻ふてやつたナ聞へたか所で親父かほり出した無理なわろの其時因果ゐんぐはと此がきが腹に有て親方はねだる年貢米ねんぐまへを盗で立銀其しりがきて首がとぶのを庄屋のあほうが年賦ねんふにして毎日の催促さいそく其金すまそで博奕ばくちにかゝり出世して小ゆすりかたり此中も親父の所の家尻やじりを切て見たれど妹のお里めと内の男めが夜通しのはな声でとんとまんがそこねた又けふのまんのよさ此いきほひ母の鼻毛はなげをゆすりかけ二三くはん目ゑじめてくる酒かふて待ておれ善太よ日の暮から寝おんな夜通しせねばおれが商売しやうばいゆづられんと云つゝ立ば女房取まだ此上に親御の物迄だましとろとは勿躰もつたいないマア内へもどつて下されとすがれど聞ずはね飛すをコリヤやい善太よ留てくれと母のおしへ利口者りこうものとゝ様内へサアござれと手にまとひ付つたかづら子が跡おへば者は小手縛こてしばり迚うたてがるしかも血筋の糸なはできびたが悪い出なをそと鬼でも子にはひかさるゝテモつめたいほでじやと手を引て女房〽諸共立帰る夕陽せきやう西へ入折から主馬しゆめの小金吾武里は上市村にて朝方ともかたが追手の人数にんじゆに取まかれ数ケ所すかしよきずおいながら内侍若君御

地色:夜通し,ウ:夜通し地色/ウ

ハル:云つゝハル

中:取付

ウ:まだ

ウ:だまし

ハル:勿躰ないハル

ウ:内へ

ウ:すがれど

中:はね飛すを

色:コリヤ

ハル:母のハル

色:とゝ様

ウ:手に

ハル:子がハル

ウ:小手縛迚

中:うたてがる

ウ:しかも

ウ:きびたが

ハル:鬼でもハル

ウ:つめたい

ヲクリ:女房,中:女房ヲクリ/中

ハルフシ:夕陽ハルフシ

色:折から

地:主馬の,ハル:主馬の地/ハル

ウ:上市村にて

中:朝方が

ウ:追手の

ハル:数に取まハル