ちやう参りでござりますかわこ様は道草かわしらが在所さいしよの子供とちがひ御奇麗きれいな生れやとほめても咄ししかけても心置身はそこ〱に詞数なくひろひ居るしばらくやすんかのコレ〱其落たは虫入で見かけがよふても皆ほがら木に有をお取なされといふに金吾はこな男何をいふ二ぢやう余りの高木かうぼくかけ上るけづめは持ぬサそれを心安ふ取やうがござりますソリヤどふしてさらば鍛練たんれんお目にかけふと小石ひろふて打つぶて枝に当てばら〱〱若君悦びなやみも忘れ小金吾ひらへの御機嫌きげんに内侍も嬉しくヲヽよい事してもらやつた過分くはぶん〱と礼も冥加めうがに余るとしらざりし旅の男は自慢じまん顔何と手の内御らふじたかまそつと打てしんぜたいがとを道かゝへおとぎ申ても居られず我等は参るとつゝみ背負せおひ御縁あらばかさねてといふてを行過る小金吾ひろ仕舞しまひサア是で堪忍かんにんなされ扨々今の男は氣転きてん者と見やる床几せうぎ風呂敷包ふろしきづゝみ同し色でもどこやらがちがふた様なと走り寄内あらたむれば覚なきしかも是は張皮籠はりかはごこちは衣類ゐるい藤箇ふぢごおり扨は木の実に氣をうばゝせ取かへうせたか但さうか何にもせよ追かけて取かへさんとかけ出す所へ向ふよりあたふた戻る以前の男麁相そさういたした御免〱と云つゝつゝみさし出し日暮もちかし心はせく同し色の風呂敷おもかるいに氣も付ず取ちがへた麁相道にてふつと心付てかへしてお詫言わびことまつぴら御免下されと顔に似合ぬ

地色:誉ても,ウ:誉ても地色/ウ

ハル:ししかけてハル

ウ:心

中:詞数,フシ:詞数中/フシ

地:暫,ハル:暫地/ハル

色:彼

詞:コレ

地色:小石,ハル:小石地色/ハル

ウ:打

ウ:当て

ウ:若君

ウ:小金吾

ウ:御機嫌

色:嬉しく

詞:ヲヽ

地:過分,ウ:過分地/ウ

ウ:冥加に

中:し旅の男は

ウ:旅の

色:自慢顔

詞:何と

地色:我等は,ウ:我等は地色/ウ

ハル:御縁ハル

フシ:いふてフシ

地:小金吾,ハル:小金吾地/ハル

色:仕舞

詞:サア

地色:見やる,ウ:見やる地色/ウ

ウ:同し

ハル:ちがふたハル

中:走り

ウ:内

ハル:しかもハル

ウ:こちは

色:扨は

ウ:取かへ

ハル:何にもハル

中:かけ

ウ:向ふより

ウ:麁相

ハル:云つゝハル

色:指出し

詞:日暮も

地色:まつぴら,ハル:まつぴら地色/ハル

ウ:顔に