宿宿殿
宿宿殿
さへぎつてとゞむる故に今此時宣しぎヘヱはゞかりながらそりやお前が御無理むりな様に存られますなぜとおつしやりませ人のかつて置た舟を無理にからふとおつしやりますはナア御無理じやござりませぬか其上にまだ宿かりの座敷へふんごまふとなされたをやらんとおつしやつて女房共ふんだりたりなさるゝはお侍様には似合ませぬ様に存ます此家に一夜でも宿致しますれば商旦那あきないだんな様座敷の中へふんごましましてはどうも私がお客人へ立ませぬどうぞ御りやうけんなされてお帰りなされて下さりませイヤ町人め鎌倉武士に向つて帰れとは推参すいさん是非ぜひ奥へふん込とそり打かへしてひしめけばアヽお侍様夫はお前の御短氣たんきでござりましよ私も船どひ屋はして居ますれど聞はつつておりますが惣別そうべつかたな脇指わきさしでは人切物じやないげにござりますお侍様方の二腰は身の要害ようがい人の楚忽そこつ狼藉らうぜきふせぐ道具じやとやら承はりました去によつて武士の武の字はほことゞむるとやら書ますげにござりますヤアこしやくなやつめあざけるほうげた切さかんと抜打に切付るひつぱづして相模が利腕きゝうでずと取コリヤもふ了簡りやうけんがならぬはい町人の家は武士の城郭じやうくはく敷居の内へ泥臑とろずねを切込さへ有に此刀で誰を切其上に平家の余類よるいのイヤ義経の所縁ゆかりなんどゝ旅人をおどすのかよし又判官殿にもせよ大物に隠れなき真綱まづなの銀平がおかくまひ申たら何とするサア真

地色:是非,ハル:是非地色/ハル

フシ:ひしめけばフシ

詞:アヽ

地色:あざける,ハル:あざける地色/ハル

ウ:ひつぱづして

色:むずと

詞:コリヤ