に成かはり過言は赦す尋て見よ申開かん遠慮無用と仰に猶も平伏し冥加に余る仕合迚の事に御座改め下されよと席を立ば大将も末座へさがつて川越を上座へこそは請ぜらる席改つて川越太郎いかに義経平家の大敵を亡し軍功を立ながら腰越より追かへされ無念にあらん但さもなかりしがはつと義経袖かき合せ親兄の礼をおもんずれば無念な共存ぜずヤア其詞虚言〱親兄の礼を重んずる者が平家の首の内新中納言知盛三位中将惟盛能登守教経此三人の首は贋者なぜ偽つて渡したぞまつ此通の御立腹サア御返答はと尋ればホヲヽ其云訳いと安し贋首を以て真とし実を以て贋とするは軍慮の奥義平家は廿四年の栄花亡び失ても旧臣倍臣国々へ分散し赤旗のへんぽんする時を待一門の中にも三位中将惟盛は小松の嫡子で平家の嫡流殊に親重盛仁を以て人を懐厚恩の者其数をしらず惟盛ながらへ有としらば残党再び取立るは治定又新中納言知盛能登守教経は古今独歩ののゑせ者大将の器量有と招きに従ひ馳集る者多からんさすれば天下穏ならず何れも入水討死と世上の風聞幸に一門残らず討取しと贋首を以て欺しは一旦天下をせいひつさせん義経が計略と有て捨置れぬ大敵故熊井鷲の尾伊勢片岡
に成リかはり過言は赦す尋て見よ申開かん遠慮無用と仰に猶も平伏し冥加に余る仕合迚の事に御座改め下されよと席を立テば大将も末座へさがつて川越を上座へこそは請ぜらる席改つて川越太郎いかに義経平家の大敵を亡し軍功を立テながら腰越より追かへされ無念にあらん但シさもなかりしがはつと義経袖かき合せ親兄の礼をおもんずれば無念ンな共存ぜずヤア其詞虚言〱親兄の礼を重んずる者が平家の首の内新中納言知盛三位ノ中将惟盛能登ノ守教経此三人の首は贋者なぜ偽つて渡したぞまつ此通の御立ツ腹サア御返答はと尋ればホヲヽ其云訳いと安し贋首を以ツて真とし実を以ツて贋とするは軍慮の奥義平家は廿四年の栄花亡び失ても旧臣倍臣国々へ分散し赤旗のへんぽんする時を待ツ一チ門ンの中にも三位中将惟盛は小松の嫡子で平家の嫡流殊に親重盛仁を以ツて人を懐厚恩の者其数をしらず惟盛ながらへ有ルとしらば残党再び取リ立るは治定又新中納言知盛能登ノ守教経は古今独歩ののゑせ者大将の器量有リと招きに従ひ馳集る者多からんさすれば天下穏ならず何れも入水討死と世上の風聞幸イに一チ門ン残らず討取リしと贋首を以ツて欺しは一ツ旦天下をせいひつさせん義経が計略と有て捨置カれぬ大敵故熊井鷲の尾伊勢片岡
地:仰に,ハル:仰に地/ハル
色:平伏色
詞:冥加に詞
地:席を,ハル:席を地/ハル
ウ:大将もウ
ウ:川越をウ
フシ:上座へフシ
地:席,ハル:席地/ハル
ウ:川越ウ
色:いかに色
詞:平家の詞
地:はつと,ハル:はつと地/ハル
色:かき合せ色
詞:親兄の詞
地:其,ハル:其地/ハル
色:いと色
詞:贋首を詞
地色:殊に,中:殊に地色/中
ハル:厚恩のハル
中:惟盛,ウ:惟盛中/ウ
ハル:取立るはハル
色:治定色
詞:又詞
地色:さすれば,ウ:さすれば地色/ウ
ウ:ならず何ウ
ウ:何れもウ
ハル:世上のハル
ウ:一門ウ
ウ:贋首をウ
色:欺しは色
詞:一旦詞