引立〱一間の中へ入にける小金吾は氣も氣ならず何とせんかとせんと奥口窺ひ透間を見てみだい親子を出し参らせ幸の菅笠荷と細引かなぐりふた押明荷底にふたりを入参らせ旅の用意の風呂敷包重盛公の絵像迄取ては押込さらへ込あたふたしつらふ其中に尼を一間にしばり上立出る大之進さつする所風をくらふてふけらした物であろ菅笠屋め存ぜぬかアヽいか様夫ならば此庵の裏伝ひをけだかい女が子を連て逃たのはたつた今と聞より猪熊目をひからしヲヽ夫に極つた高が女の足なればぼつかけて搦とらん家来二人は是に残り奥の尼めを取逃すなと跡をしたふておつかけ行してやつたりと小金吾は心も空に荷を打かたげ行んとするを二人の家来両方より小金吾が棒端取てどつかと引すへ動さねばコリヤどふなさるヤアどふするとは胡乱者此荷底に挟れたは女の着物イヤ是は誂の笠のいたゞきヤアぬけ〱とぬかすまいみだい親子に極つたぶち明て詮義せんと立かゝる両人が肩骨つかんで引退る詮義させぬは曲者とすらりと抜て切かくる引ぱづし〱拐をふり上弓手めてへたゝきふせ急所〱を力に任せたゝきのめせば二人の家来目鼻より血を出しのた打廻つて死てげり敵の帰らぬ其中にと荷を打かたげ声はり上菅笠かゞ笠かさ網笠網を遁れて〽出て行花の姿も引かへて主従七騎駒のはな営の岡でかへり咲再び御運開かれし
引立〱一ト間の中チへ入にける小金吾は氣も氣ならず何とせんかとせんと奥口窺ひ透間を見てみだい親子を出し参らせ幸イの菅笠荷と細引かなぐりふた押シ明ケ荷底にふたりを入レ参らせ旅の用意の風呂敷キ包重盛公の絵像迄取ツては押シ込ミさらへ込ミあたふたしつらふ其中チに尼を一ト間にしばり上立出る大之進さつする所風をくらふてふけらした物であろ菅笠屋め存ンぜぬかアヽいか様夫レならば此庵の裏伝ひをけだかい女が子を連レて逃ケたのはたつた今と聞クより猪熊目をひからしヲヽ夫レに極つた高が女ゴの足なればぼつかけて搦とらん家来二人は是に残り奥の尼めを取逃すなと跡をしたふておつかけ行してやつたりと小金吾は心も空に荷を打かたげ行んとするを二人の家来両方より小金吾が棒端取てどつかと引すへ動さねばコリヤどふなさるヤアどふするとは胡乱者此荷底に挟れたは女の着ル物イヤ是は誂の笠のいたゞきヤアぬけ〱とぬかすまいみだい親子に極つたぶち明ケて詮義せんと立かゝる両人が肩骨つかんで引退る詮義させぬは曲者とすらりと抜て切かくる引ぱづし〱拐をふり上弓ン手めてへたゝきふせ急所〱を力に任せたゝきのめせば二人の家来目鼻より血を出しのた打廻つて死てげり敵の帰らぬ其中チにと荷を打かたげ声はり上菅笠かゞ笠かさ網笠網を遁れて〽出て行花の姿も引かへて主従七騎駒のはな営の岡でかへり咲再び御運開かれし
ウ:引立ウ
フシ:一間のフシ
地:小金吾は,ウ:小金吾は地/ウ
ウ:何とウ
ウ:奥口ウ
ウ:みだいウ
ハル:菅笠ハル
ウ:細引ウ
ウ:荷底ウ
色:入色
ウ:旅のウ
ハル:風呂敷ハル
ウ:重盛公のウ
ウ:取てはウ
中:さらへ込中
ウ:あたふたウ
ハル:尼をハル
色:大之進色
詞:さつする詞
地:聞より,ウ:聞より地/ウ
ウ:ヲヽウ
ウ:高がウ
ハル:搦とらんハル
ウ:家来ウ
ウ:奥のウ
フシ:跡をフシ
地:して,ウ:して地/ウ
ハルフシ:心もハルフシ
ウ:荷をウ
ウ:行んとウ
ウ:両方よりウ
色:動さねば色
詞:コリヤ詞
地:立かゝる,ウ:立かゝる地/ウ
ハル:両人がハル
ウ:肩骨ウ
色:引退る色
ウ:詮義ウ
色:切かくる色
詞:引ぱづし詞
地:弓手,ウ:弓手地/ウ
ウ:急所ウ
ハル:たゝきのめせばハル
ウ:二人のウ
フシ:のた打廻つてフシ
地:敵の,ウ:敵の地/ウ
ハル:其ハル
ウ:荷をウ
色:声色
詞:菅笠詞
ハル:網笠,キヲイ:網笠ハル/キヲイ
三重:遁れて三重
上:出て上
舞:花の,ハル:花の舞/ハル
入:姿も入
中:引中
ウ:主従ウ
ハル:駒のハル
詞:営の詞