テーマ研究2「台本による歌舞伎作品復元の調査・研究」

    研究代表者 古井戸秀夫(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
    研究分担者 鈴木英一(早稲田大学非常勤講師)
          今岡謙太郎(武蔵野美術大学教授)
          児玉竜一(早稲田大学教授)
          安冨順(明治大学非常勤講師)
          ローレンス・コミンズ(ポートランド州立大学教授)

 ○研究成果概要(平成25年度)
 研究目的①「演劇博物館所蔵歌舞伎台本のデータ化の研究」では、「A 虫食い破損部分の修復研究」では、修復の専門家と歌舞伎台本の研究家の共同研究を進めた。虫食いの台本が修復により、文化資源として新しい価値を獲得するかが、新たな研究課題となった。「B データ化の研究」では、昨年度データ化した、狂言作者の自筆の書き下ろし台本を多く含む「ロ16」の内容の分析に入った。また、「河竹文庫」のデジタル化について、演博側の作業の進捗状況を確認し、今後の課題について検討を進めた。また、台本周辺資料の整備として、雑誌『演芸画報』昭和期のデータ化を完了した。これによって、大正・昭和期の新作歌舞伎で、戯曲掲載されたものの利用分析の便が飛躍的に向上すると思われる。
 研究目的②の個別研究の研究成果は、以下の通りである。
個別研究①「鶴屋南北の台本研究」 では、鶴屋南北の評伝研究を進めた。
個別研究②「歌舞伎舞踊の台本研究」では、国立劇場文芸課と協力して上演台本作成の検討を進め、「春陽三獅子(いまようみつのししがしら)」の台本を作成した。山村友五郎関係の上演台本に関する研究を進めた。
個別研究③「黙阿弥の台本研究」では、『隅田川対加賀紋』(国立劇場・未翻刻戯曲集20)、『隅田川対加賀紋』『裏表忠臣蔵』(国立劇場・正本写合巻集12・13)の編集・刊行を指導した。
個別研究④「義太夫狂言の台本研究」では、国立劇場文芸課と協力して、復活上演準備台本についての検討をおこなった。また、歌舞伎での復活上演のための台本に協力した関係で、文楽での復活上演に関する相談に与った。
個別研究⑤「大坂歌舞伎の台本研究」では、池田文庫所蔵の歌舞伎台本の調査を行った。