公募研究6「映像からみる戦前戦後の宝塚歌劇―日比谷宝塚劇場映像(1935)とGHQ撮影映像(1946)を巡る考察―」
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研究代表者 児玉竜一(早稲田大学文学学術院教授)
研究分担者 阿部さとみ(群馬県立女子大学講師)
石坂亜希(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
川崎賢子(日本映画大学教授)
桑原和美(就実大学教授)
仁井田千絵(日本学術振興会特別研究員PD)
ノルドストロム・ヨハン(早稲田大学大学院文学研究科博士課程)
山梨牧子(法政大学国際日本学研究所研究員)
○研究成果概要(平成25年度)
本研究の目的は、宝塚歌劇の上演を記録した2つの映像(A:1936年の発掘された個人映像、B:1946年の占領期のカラー映像)を学際的に分析することにより、映像に歴史資料としての位置づけを与え、戦前戦後の宝塚歌劇の変遷を明らかにすることであった。その研究成果は以下になる。
①学会での発表:2013年度日本演劇学会全国大会:「宝塚歌劇と世界の音楽劇」において、映像Aに関するパネル発表を行った(石坂、桑原、仁井田、山梨)。パネルでは、舞踊学、音楽学、映像学の視点から、映像Aの題材となっている宝塚歌劇『ラ・ローマンス』、『パリアッチ』、『流線美』について考察した。同大会では、戦時中の宝塚歌劇(児玉)、宝塚歌劇100年に向けたパネル(川崎)での発表、講演も行われた。
②ドキュメンタリーの制作:映像Aを主題として、出演者、関係者等にインタビューを行い、その記録をドキュメンタリーとしてまとめた。制作には映像作家の三行英登氏の協力を仰ぎ、2013年6?11月にかけて撮影・編集を行った。ドキュメンタリーは、映像A・Bの出演者、映像に記録されている宝塚歌劇の上演を同時代に観劇している関係者の証言を記録している点で、オーラル・ヒストリーとしての意義がある。ドキュメンタリーの一部は、後述する日比谷図書文化館、早稲田大学でのシンポジウムで上映した。
③一般向け行事での上映・発表:映像Aの『パリアッチ』については、宝塚市主催平和映画会(7/22、仁井田)、岩手市主催園井恵子生誕百年イベント(8/25、山梨)で上映され、分担者が参加した。また映像Aに関して共同研究を行っている共立女子大学千代田学事業主催のシンポジウム「日比谷における宝塚文化?映像と写真から探る1930年代のヒビヤ・モダン」(11/16、日比谷図書文化館)に協力し、同シンポジウムでドキュメンタリーの上映、研究報告(山梨)、講演(ノルドストロム)が行われた。
④シンポジウムの開催:チーム主催のシンポジウム「映像にみる戦前戦後の宝塚歌劇」(1/14、早稲田大学)を開催し、本研究の成果報告を行った。シンポジウムは第1部(映像A)、第2部(映像B)に分けられ、ドキュメンタリーの上映、映像A『パリアッチ』に関する講演、映像B『春のをどり』に関する講演(川崎、桑原)、日本舞踊の視点からのコメント(阿部)があった。