公募研究1「幻燈種板及び機器の画像データ作製調査」
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研究代表者 藤岡幹嗣(立命館大学映像学部准教授)
研究分担者 池田光惠(大阪芸術大学芸術計画学科教授)
松本夏樹(武蔵野美術大学、大阪芸術大学 非常勤講師)
○研究成果概要(平成24年度)
江戸・明治期から昭和初期にいたる幻燈とその種板を中心とする、本研究分担者・松本夏樹が管理および所蔵する初期映像機器類の画像データ作製の為に、各品目の内容調査研究・画像撮影・電子データ化を進めた。
その際、各品目特に破損しやすいガラス製種板や、経年劣化した機器類の扱いに習熟した研究者および研究補助者、撮影者、データベース製作者を必要不可欠とするが、本研究代表者・藤岡幹嗣と本研究分担者・池田光恵、松本夏樹は、大阪芸術大学藝術研究所2003年度「玩具映画及び映画復元・調査・研究プロジェクト」において大阪歴史博物館所蔵の錦影絵風呂(木製幻燈機)及び種板一式の復元作業と調査研究の実績を有している。本研究分担者・池田光惠は、錦影絵の復元・上演を大阪芸術大学で研究・指導しており、本研究分担者・松本夏樹は家庭用及び興行用初期映像機器を約40年にわたり収集研究し、かつ可能なものにより大学・博物館等で実物上映することでその使用技術の実践研究を行っている。また研究補助者、撮影者、電子データ化製作者のいずれもが、以前から松本夏樹の調査研究に従事した経験を有するものがこれを担当した。
この調査作業の工程それ自体を撮影・記録するとともに、使用可能もしくは復元可能な種板を含む映像機器を使って実際に当時の映写実態を再現し、これをビデオ記録化して各品目のデータベース化のみならず、機器操作の動態研究にも資する事ができた。
機器の画像とその文化的背景と共に、次世代に日本映像史の動態的研究の実際とその将来的な保存技術や文化継承への関心を喚起する重要な教育ツールとしての映像記録を残すことができた。調査法・保存技術・復元過程・動態研究記録の各項目を満たす成果が得られたことは、本研究の最も重要な成果のひとつである。