テーマ研究4「演劇博物館所蔵映画フィルムの調査、目録整備と保存活用」
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研究代表者 入江良郎(東京国立近代美術館フィルムセンター・主任研究員)
研究分担者 児玉竜一(早稲田大学・文学部・教授)
上田学(早稲田大学・演劇博物館・助手)
栩木章(東京国立近代美術館フィルムセンター・主任研究員)
岡田秀則(東京国立近代美術館フィルムセンター・主任研究員)
板倉史明(東京国立近代美術館フィルムセンター・主任研究員)
碓井みちこ(関東学院大学・文学部・専任講師)
金子健(文化庁文化財部伝統文化課芸能部門・文部科学技官)
○研究成果概要(平成23年度)
演劇博物館が所蔵する全映画フィルム・コレクションの目録整備と活用の推進を目標とする本研究では、引き続き①個々のフィルムの作品情報(内容や文字情報など)と②所蔵情報(規格の詳細や尺長、コンディションなど)の調査をコレクションの規格毎に実施した。
今年度は、平成22年度に続き16mmフィルムと35mmフィルムを対象に、編集台を用いた検査とクレジット情報の採集を行い、この2年間で全ての作業を終えた。16mmフィルムの総数は564本(平成23年度の検査本数は105本)、35mmフィルムの総数は53本(全て平成23年度の検査)である。これにより、8mmフィルム271本を含む全コレクション888本の基礎調査が完了したことになる(8mmフィルムについては、平成22年度までに所蔵情報の採集とデジタル・メディアへの変換を完了。ただしほとんどのコレクションでクレジット情報など文字情報が得られないため、デジタル・メディアを用いた内容調査を継続中)。なお、検査の結果に伴いコレクションの数には訂正が加えられている。
上記に加え、35mmフィルムの検査では、新たに8本のナイトレート(可燃性)・フィルムが確認された。さらに、早稲田大学内からナイトレート・フィルム2本(同一作品2組)が移管されたため、可燃性フィルムのコレクションは全部で31本を数えている。これらの調査と平行して、本研究では、ナイトレート・フィルムを保管している機関を訪問し、施設や方法の視察を行った(6月14日)。その結果も踏まえながら今後の取り扱いについて最良の方法を検討したい。
検査を終えたフィルムのうち、特に重要と思われるコレクションについては、分担者による専門研究や論考執筆、ニュー・プリントの作成などを予定しており、今年度はその最初の打ち合わせを行うとともに(7月19日)、一部でニュー・プリントの作成を開始し年度内に計6作品の作業を終えた。
上記の他、平成22年度までにメディア変換を行ったフィルムの映像が、演劇博物館の展覧会「日活向島と新派映画の時代展」(2011年12月3日~2012年3月25日)に出品、公開された。