テーマ研究3「舞台芸術 創造とその環境 日本/世界」

    研究代表者 藤井慎太郎(早稲田大学文学学術院准教授)
    研究分担者 曽田修司(跡見学園大学教授)
          松井憲太郎(富士見市民文化会館キラリふじみ館長)
          上田洋子(早稲田大学演劇博物館助手)
          恵志美奈子(世田谷パブリックシアター学芸職員)

 ○研究成果概要(平成23年度)
 東日本大震災の影響のために前期の活動は多くを組み替えざるを得ず、一部を後期に延期するなど多大な影響を受けたものの、一方では、学外組織、とりわけ舞台芸術創造の現場にある組織との連携の上、世界各地の舞台芸術の創造とその環境に関して各国の人物を招聘して公開研究会を開催し、もう一方では、オーラル・ヒストリー・アーカイヴ構築に向けて準備を進め、以下のような成果を上げることができた。
・国際交流基金と連携して、ナイセ・ロペス(フェスティバル・パノラマ・ディレクター)、クリスティーネ・グライナー(サンパウロ・カトリック大学)両氏を大学に招いて、ブラジルの舞台芸術の創造とその環境に関する研究会を開催した。
・フェスティバル/トーキョーと連携して、F/Tユニバーシティとして、現代演劇に関する国際的な第一人者であるハンス=ティース・レーマン(フランクフルト大学)をドイツから招聘しての連続講義「カタストロフェー・アナグノーリシス・カタルシス 悲劇の三概念とその今日的意義」、フランスを代表する振付家ジェローム・ベルによるヴィデオ・レクチャーを開催した。ハンス=ティース・レーマン氏については、ドイツ語によるレクチャー「ベルトルト・ブレヒトからハイナー・ミュラーへ」も合わせて開催した(日本語に翻訳して2012年度中に公開予定である)。ハンス=ティース・レーマン氏は引き続き2012年度にも日本に招聘し、研究交流をさらに深める予定である。
・TPAM in Yokohama(国際舞台芸術ミーティング)と連携して、フランスの演出家フィリップ・ケーヌを大学に招いてヴィデオ・レクチャー「フィリップ・ケーヌ自身によるフィリップ・ケーヌ」を開催した。
・舞台芸術におけるオーラル・ヒストリー・アーカイヴ構築を目指して、5回の研究会を開催するとともに、日本におけるフラメンコの発展・普及に大きな役割を小島章司氏に対して聞き取りを実施し、インタヴューをテクストにまとめた。2012年度中にウェブを通じた公開を開始する予定である。

 代表者が2011年度に公表した主な研究成果は以下の通りである。
・伊藤裕夫・藤井慎太郎編著『芸術と環境 劇場制度・国際交流・文化政策』論創社、2012年3月(全312頁)、「フランスの対外文化政策 その歴史と現在、理念と現実」(230-243頁)。
・論文「カタストロフィと演劇 東日本大震災は何をもたらしたのか」、『演劇博物館グローバルCOE紀要 演劇映像学2011』第2集、2012年3月、135-162頁。
・解説「東日本大震災と芸術文化環境」、JOYO ARC(常陽地域研究センター)、2012年1月、19?23頁
・解説「フランスの舞踊環境の変遷 アンジェ国立現代舞踊センターを中心に」、『地域創造』第30号、2011年11月、60-68頁。