<2011年度第3回 研究報告会のお知らせ>
  ――文化交流か映画戦か――戦前・戦時下の日・中・米――

早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点
研究報告会のお知らせ

演劇博物館演劇映像学連携研究拠点テーマ研究「日本映画、その史的社会的諸相の研究」が主催する研究報告会(研究代表者:岩本憲児)が、下記の通り開催されます。 どなたでも自由に参加できます。

◆日時 
11月5日(土)、13:30-17:30
◆会場
早稲田大学キャンパス26号館(大隈タワー)302会議室
◆報告者と題目
全体時間の前半=報告①~③、後半=報告④および参考上映)

13:30-15:45
張愉(日本大学大学院芸術学研究科映像芸術専攻博士後期課程)
戦時下における日中『西遊記』のポリティックス
:東宝『西遊記』と中国漫画映画『鉄扇公主』をめぐって
日中戦争下における「西遊記」という中国古典題材の映画化、特に中国万氏兄弟が製作したアジア最初の長編漫画映画『西遊記 鉄扇公主の巻』(1941)を取り上げ、同時代の日本劇映画『西遊記』(1940)と比較し、それぞれの時代背景および受容を検討してみる。両国の『西遊記』の内容を紹介するとともに、それがいかに1940年という時代性を反映したものであったか、日中戦争との関連においても論じてみる。前者に関しては上海出張で得た資料を中心に報告する。

晏 ?(明治学院大学言語文化研究所研究員)
満洲の映画館と日本映画の受容
戦時中、日本映画、上海映画と満映製作の映画が競って満洲において上映されており、観客層も日本人、中国人、ロシア人というふうに多種多様だった。本発表は、新京(長春)、奉天(瀋陽)、ハルビン、大連などの満洲の各都市における日系映画館や中国人の経営(満系館)による映画館の実態を整理し、これらの映画館でどんな日本映画が上映されていたのかを簡単に概説した上で、日本映画の満洲における受容の一端を明らかにする。

土田環(映画専門大学院大学講師)
?映画における「国際性」の概念:『ニッポン』にみる川喜多長政の夢
東和商事創立(1928)当初から、映画による東西の文化交流という理想を抱いていた川喜多長政は、溝口健二『狂恋の女師匠』、衣笠貞之助『怪盗沙弥麿』、牛原虚彦『大都会・労働篇』の三本をカール・コッホに編集させ、『ニッポン』と名づけて、1935年にドイツとフランスで公開した。川喜多の活動は、『新しき土』(アーノルド・ファンク、伊丹万作、1937)や『蝶々夫人』(カルミロ・ガローネ、1954)といった作品にみられるように、国際共同製作にまで及ぶ。本発表では、『ニッポン』プロジェクトを中心に、川喜多の抱く「国際性」という概念を文献から明らかにする。

=======休憩===========

16:00―17:30 (参考映写・質疑応答を含む)
志村三代子 (早稲田大学演劇博物館招聘研究員)
戦時下における日系人の表象:『December 7th
(1943年アメリカ公
の二つのバージョンに見る差異をめぐって
真珠湾攻撃を取り上げた『December 7th』(1943年アメリカ公開)は、『ミッドウエイ海戦』とともに、第二次世界大戦時におけるジョン・フォードの代表的なドキュメンタリー作品として 知られている。だが、この『December 7th』は、最初に撮影監督のグレッグ・トーランドが演出したが、海軍省から内容について横槍が入り、ジョン・フォードが再編集したため、二つのバージョ ンが存在する。発表では、トーランド版とフォード版の差異に注目し、主に真珠湾攻撃前後における日系人描写の変容を分析することによって、 『December 7th』に描かれた〈日本〉に対する敵愾心の具体的なイメージを明らかにする。 

◆使用言語: 日本語 ※入場無料・事前登録不要

◆主催: 早稲田大学演劇映像学連携研究拠点
テーマ研究「日本映画、その史的社会的諸相の研究」
(研究代表者:岩本憲児)

◆お問い合わせ
◇早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点
(TEL:03-5286-8515 / FAX:03-5286-8516 / E-MAIL:kyodo-enpaku_atmark_list.waseda.jp ※_atmark_は@に変えて送信して下さい)