公開研究会 「1938年問題とは何か?――ペーター・ヴァイス『抵抗の美学』をめぐって」
早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点
研究会のお知らせ
演劇博物館演劇映像学連携研究拠点テーマ研究「演劇研究基盤整備:舞台芸術文献の翻訳と公開」(通称:翻訳プロジェクト)が主催する公開研究会が、下記の通り開催されます。
◆日時
2011年9月24日(土)14時~17時(13時30分開場)
◆会場
早稲田大学6号館(早稲田キャンパス)318教室(レクチャールーム)
◆発表者:谷川道子(東京外国語大学名誉教授/ドイツ文学・演劇)
◆概要
「翻訳プロジェクト」では、昨年度の「ヨーロッパ世紀末転換期」における演劇論の刊行を受けて、戦間期の表象文化史を〈1938年〉という年号をキーワードとして読み直すという新テーマを掲げました。言語単位に閉じこもりがちなヨーロッパ演劇研究を横に広げ、各分野の研究者・批評家を交えた討議を行うことを目指します。今回はドイツ文学・演劇がご専門の谷川道子氏の発表から、ドイツ語圏の側から〈1938年〉について考えていきたいと思います。
まず最初に20世紀初頭のヨーロッパの政治史を確認したうえで、「レニ・リーフェンシュタールvsピカソ」「ベルリン・オリンピックvsスペイン市民戦争」「退廃美術展vs大ドイツ展」などの対立項から「政治の美学化vs美学の政治化」という軸を抽出することができるかどうかを議論します。また、前回の研究会で鴻英良氏が論じたロシアにおける形式主義論争や秋葉裕一氏のブレヒト論を受けて、「表現主義論争=リアリズム論争」という文学史上の大論争を再度取り上げます(ルカーチvsブレヒト)。
最後に、わたしたちの文化が〈1938年〉をどのように表象してきたのかを振り返ります。一方ではこの年にブレヒトによって書かれた『ガリレオの生涯』はどのように捉えられてきたのか、そして他方では、何よりもまず、ペーター・ヴァイスの『抵抗の美学』という大著が何をわたしたちに伝えているのか。さらには、ハイナー・ミュラーの『ゲルマニア3』という作品をどのように受け取るべきなのか。ドイツに加えて、ベルンハルトやイェリネクといったオーストリアの現代劇作家が〈1938年〉の歴史性をいかに表象しているのか……。
◆使用言語: 日本語 ※入場無料・事前登録不要
◆主催: 早稲田大学演劇映像学連携研究拠点
テーマ研究「演劇研究基盤整備:舞台芸術文献の翻訳と公開」
(研究代表者:秋葉裕一)
◆「翻訳プロジェクト」とは?
未邦訳または既訳が古びてしまった海外の重要な演劇テクストを国内の演劇研究者・批評家の協力の下で翻訳、その成果をウェブ上で無償提供するというプロジェクトです(2010年度より開始)。昨年度は「ヨーロッパ世紀末転換期」における演劇論に焦点を当てドイツ、フランス、ロシア、英米の4か国語の翻訳および成果公開を行いました。今後はヨーロッパのみならず、中国、東南アジア、ラテン・アメリカにおける演劇論などにも目を向けていく予定です。活動詳細につきましては、『演劇博物館』第105号(2011年9月刊)60-62頁もご覧ください。
◆お問い合わせ
◇早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点
(TEL:03-5286-8515 / FAX:03-5286-8516 / E-MAIL:kyodo-enpaku_atmark_list.waseda.jp ※_atmark_は@に変えて送信して下さい)