テーマ研究6「日本映画、その史的社会的諸相の研究」
-
研究代表者 岩本憲児(日本大学芸術学部大学院映像芸術専攻教授)
研究分担者 碓井みちこ(関東学院大学文学部専任講師)
大久保遼(東京大学大学院学際情報学府博士後期課程)
古賀太(日本大学芸術学部教授)
小林貞弘(椙山女学園大学・中部大学非常勤講師)
田島良一(日本大学芸術学部教授)
本地陽彦(フリー)
松本夏樹(大阪芸術大学非常勤講師)
渡邉大輔(日本大学芸術学部大学院映像芸術専攻博士後期課程)
○研究成果概要(平成22年度)
〔研究の目的〕
全体を二つのテーマ、テーマA「日本映画草創期の研究」とテーマB「日本映画と社会:国内外における受容と評価の比較研究」に分けて研究を行う。いずれにも内包される個別的課題は多岐にわたるので、大きな成果を上げるには共同研究が求められる。これまで演劇博物館に蓄積された資料を利用するのは当然であるが、新たな資料発掘と収集も必要となるだろう。ただし、2010年度はテーマAを「日本映画の誕生」に絞って研究を一段落させた。2011年度から研究分担者若干の入れ替えを行い、テーマBへと移行する。
〔研究内容〕
本研究(テーマA「日本映画草創期の研究」)では、通説として流布されてきた日本映画誕生期の多様な問題を再検討してきた。また、これまでに見逃されたり、軽視されてきた諸相を発掘し再検討した。そこから、日本映画草創期にあったと思われる、先行芸能や先行技術との関連、幻燈や映画の渡来後の日本化の特徴、萌芽期にあった可能性とその後の展開、興行用に製作されたものだけではない映像メディアの多様性、たとえば家庭用映像機器の調査などを行った。文献資料はもちろんのことであるが、若干の映像資料の収集や再検討も行ってきた。
分担研究の個別テーマは「エジソン映画と日本」、「駒田好洋とその資料」、「写し絵から映画へ」、「日本におけるメリエス映画」、「地方映画の草創期」、「無声映画の音」、「小林喜三郎再評価」、「『映画『紅葉狩』の撮影日」「孫文と梅屋庄吉、その背景」、「 明治期の家庭用映像機器」、「初期映画と観客の身体」。
このように、日本映画初期の諸相が多様な視点から明らかにされたのは、本研究の成果であるが、研究が進むにつれて、さらに調査が必要と思われる課題も次々に現れた。今後の課題である。