テーマ研究5「演劇博物館所蔵映画フィルムの調査、目録整備と保存活用」

    研究代表者 入江良郎(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)
    研究分担者 児玉竜一(早稲田大学文学部教授)
          上田学(早稲田大学演劇博物館助手)
          栩木章(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)
          岡田秀則(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)
          板倉史明(東京国立近代美術館フィルムセンター研究員)
          碓井みちこ(関東学院大学文学部専任講師)
          金子健(東京文化財研究所無形文化遺産部研究補佐員)

 ○研究成果概要(平成22年度)
 演劇博物館が所蔵する全映画フィルム・コレクションの目録化と活用の推進を目標とする本研究では、昨年度に引き続き①個々のフィルムの作品情報(フィルムの内容や文字情報など)ならびに②所蔵情報(フィルムの規格や尺長、素材のコンディションなど)の採集を行った。また、そのままでは映写・再生が困難な8mmフィルムと35mm可燃性フィルムについては、①の調査に必要なメディアの作成を先行して行った。
・8mmフィルム
 今年度は80本を対象にDVCAM及びDVDへのメディア変換を行った。昨年度の171本とあわせて2年間で、メディア変換が可能なコレクション全て(全271本のうち249本)の作業を終えることができた。また、前年度にメディア変換が終了している作品については、内容の調査にも着手した。
・35mm可燃性フィルム
 所蔵の可燃性フィルム(玩具映画)全21本を対象に、DVCAM及びDVDへのメディア変換を行った。
・16mmフィルム
編集台を用いたフィルムの検査と文字情報の採集を行い、所蔵本数572本のうち459本の作業を終えた。また、これらのうち特に重要と思われる作品については、49本を選びDVCAMならびにDVDへのメディア変換を行うとともに、35mmプリントの作成についても今後の可能性を検討した。

次年度以降は、採集した情報をもとにデータベース構築の本格的な作業に着手するとともに、とくに重要と思われる作品について、それぞれの歴史的文脈にも踏み込んだ専門研究と、公開用メディア作成を行う予定である。

なお、今回の作業で作成されたメディアは、本研究の終了後も内外研究者のための利用媒体として使用することが可能であり、既に一部は演劇博物館の展覧会「六世 中村歌右衛門展-歌舞伎座とのあゆみ」(2010年3月~4月)、「森繁久彌展-人生はピンとキリだけ知ればいい-」(2010年9月~11月)、「時代劇映画史展 演博コレクションから」(2010年11月~2011年2月)でも公開されている。