テーマ研究4「舞台芸術文献の翻訳と公開」

    研究代表者 竹本幹夫(早稲田大学文学学術院教授)
    研究分担者 藤井慎太郎(早稲田大学文学学術院准教授)
          秋葉裕一(早稲田大学理工学術院教授)(副代表)
          高橋敏夫(早稲田大学文学学術院教授)
          土居伸彰(早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点研究助手)
          堀切克洋(早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点研究助手)

 ○研究成果概要(平成22年度)
 昨年度に発足したテーマ研究「現代日本演劇作品の翻訳研究」は基礎研究を終えた段階で、高橋代表が提携を想定していた井上ひさし氏の死去や、アメリカ側の翻訳担当者の不在などでプロジェクトの継続が難しい状況となったため、急遽研究チームを再編し、藤井慎太郎本学准教授を中心に、鴻英良・谷川道子・内野儀の各氏に参集を呼びかけ、未翻訳のヨーロッパ演劇理論の紹介を活動の主内容とすることが話し合われ、運営委員会の議を経てテーマの変更、チームの再編が認められた。そこで英米演劇(内野)・フランス演劇(藤井)・ドイツ演劇(谷川)・ロシア演劇(鴻)・東南アジア演劇(松井)の各分野で翻訳対象文献を博捜し、それぞれ傘下の若手研究者を中心とする翻訳作業チームを構成することになった。アジア系演劇については、日本及び中国の演劇理論研究者の参加を待って開始することとし、本年度は「世紀末転換期演劇論」として、20世紀初頭前後のヨーロッパ演劇理論を中心に作業を進めることとした。6月中に人選を行って複数の若手研究者に原稿を依頼し、12月末を締め切りとして総計でA5換算にして600頁分ほどの翻訳を行うこととし、それを原則として冊子ではなく、拠点ホームページにアップロードし、Web上の書籍の形でPDFファイルを無償公開することとし、また閲覧各位の意見を参照して翻訳原稿を改訂する余地を残すこととした。翻訳原稿については年内にすべて集まり、各分野の責任者による概論執筆も行った。3月末には、編集作業が進行中のフランス演劇を除くほぼすべての予定原稿をアップロードすることができた。サーバは拠点独自のものを用いて物理的には演劇博物館サーバからは独立させ、見かけ上は演博ホームページから拠点ホームページに遷移出来ることとした。その全内容については、連携拠点ホームページを参照されたい。

 

なお著作権処理に関しては専門業者に委託したが、すでに著作権が消滅したものもあり、また著作権者不明の例がきわめて多かった。これについてはなお博捜中であるが、そうしたものを断りを入れてアップロードした。1件は紙媒体での公開以外は認められないとの立場であったので、2011年度演劇博物館紀要『演劇研究』に掲載の予定である。