公募研究12「坪内逍遙遺文の収集調査に基づく「坪内逍遙新集」(仮称)の刊行」
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研究代表者 松山薫((財)逍遙協会・理事)
研究分担者 濱口久仁子((財)逍遙協会・事務局長)
林京平((財)逍遙協会・理事)
菊池明((財)逍遙協会・理事)
梅澤宣夫((財)逍遙協会・評議員)
○研究成果概要(平成22年度)
(財)逍遙協会における長年の坪内逍遙関係資料の調査研究に基づき、本研究チームにより2011年度から「坪内逍遙新集」(仮称)の刊行することとなった。その内容構成は、第一集「坪内逍遙書簡集」(5巻)、第二集「坪内逍遙日記」(3巻)、第三集「坪内逍遙書誌」(2巻)で、2010年度はこの内の「逍遙書簡集」「坪内逍遙日記」の作業を中心に進めた。
1「坪内逍遙書簡集」刊行のための研究・調査・翻刻・執筆・編集
逍遙協会が既に調査・複写した坪内逍遙の諸家宛書簡2254通の内、早稲田大学(図書館・演劇博物館・大学史資料センター等)所蔵1040通、逍遙協会所蔵1002通を再調査して収録することとし、担当を決めて書簡原本再確認の上、本文の翻刻・宛先人物の経歴と逍遙との関係調査・書簡それぞれに解説を付し、3月末までに1500通の原稿が完成し入稿した。あわせて校正・図版選定・索引等の準備にも着手することが出来た。
今回翻刻中の逍遙書簡には一通ごとに詳細な解説を付した。書簡の中で逍遙は様々な活動の苦心や真意を自身のことばで綴っており、今回収録予定の多くが初公開で、日本演劇史、文学史研究の上で貴重な資料である。2010年度は収録予定のうち四分の三の入稿を終了し、次年度の出版に向けてほぼ予定通り実施できたといえる。
2「坪内逍遙日記」刊行のための準備作業-基礎調査と撮影
「書簡集」の次に刊行予定である「坪内逍遙日記」(明治20年~昭和10年)の準備作業として撮影のための再調査と、デジタル撮影を行った。全巻の翻刻作業は一応完了しているが長期間に渉り複数の校訂者によって行われたため、翻刻基準が不統一で未収録箇所もあるため、今回の出版では凡例を統一して、すべて原本照合する予定である。しかしながら原本の保存状態を考慮し、デジタル撮影の上、原本照合は画像による照合作業とし難読箇所のみ原資料照合することとした。今年度実施した撮影は6300カットに及んだ。
「坪内逍遙書簡集」「坪内逍遙日記」ともに、2011年度からの出版に向けて、2010年度の作業はほぼ順調に予定を達成することが出来た。