公募研究8「説明台本を基礎とした弁士の機能に関する総合的研究」
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研究代表者 上田学(早稲田大学演劇博物館助手)
研究分担者 板倉史明(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)
今田健太郎(大手前大学メディア芸術学部非常勤講師)
碓井みちこ(関東学院大学文学部専任講師)
大久保遼(東京大学大学院学際情報学府博士課程)
大傍正規(早稲田大学演劇博物館グローバルCOE研究助手)
松谷容作(神戸大学人文学研究科学術推進研究員)
横田洋(大阪大学総合学術博物館研究支援推進員)
○研究成果概要(平成22年度)
演劇博物館が所蔵する説明台本をはじめとした、弁士関連資料にもとづく共同研究として、今年度に開催した計四回の研究会を中心に、具体的に以下の研究成果を挙げた。
(A)第1回研究会において、著名な弁士の一人であった駒田好洋の孫、駒田好二氏と鈴木雄三氏を招へいし、共同研究者による聞き取り調査を実施した。また関連して前川公美夫が、好洋の北海道巡業に関する研究発表をおこなった。なお、聞き取り調査の成果をもとに、上田学が演劇博物館所蔵の好洋旧蔵スクラップブックを再検討し、『演劇研究』34号(演劇博物館)で報告としてまとめた。
(B)第2回研究会において、演劇博物館が所蔵する、弁士の梅村紫声旧蔵資料の説明台本、および連鎖劇台本の調査を共同で実施した。これにより、書き込みのある説明台本の抽出、および連鎖劇台本の演目ごとによる組み合わせの判別をおこなった。この調査成果を踏まえて、選定した台本(説明台本25点、連鎖劇台本63点)をデジタル化した。
(C)第3回研究会において、シカゴ大学のマイケル・レイン助教を招へいし、小津のサウンド版における「サイレント」としての特性に関する研究発表がおこなわれた。また関連して上田学と大久保遼が、共同研究の成果を踏まえつつ、それぞれの研究分野から弁士について研究発表し、他の共同研究者も交えて、弁士を対象とした日米の研究に関する意見交換をおこなった。
(D)第4回研究会において、大傍正規と今田健太郎が、太田市立新田図書館の田中純一郎旧蔵資料の調査成果(2009年度)に関連して研究発表をおこなった。この研究会は、視聴覚文化研究会との共催によって公開とし、研究成果を共同研究外部へ発信するとともに、参加者との活発な意見交換がおこなわれた。
(E)駒田好洋旧蔵資料の「全国活動写真説明者番付」(1925年)について、計1226レコードを採録するとともに、弁士に係わるカラム(氏名、都市、映画館等)を設定してデータベース化した。