公募研究10「日本ニュース映画の資料アーカイヴ基礎研究」
-
研究代表者 濱崎好治(川崎市市民ミュージアム学芸員)
研究分担者 中村秀之(立教大学現代心理学部教授)
原山浩介(人間文化研究機構国立歴史民俗博物館研究部助教)
浜崎友子(一般社団法人記録映画保存センター職員)
加藤厚子(映画専門大学院大学映画プロデュース研究科准教授)
山内隆治(東京大学学際情報学府修士課程)
紙屋牧子(東京造形大学造形学部非常勤講師)
○研究成果概要(平成21年度)
日本ニュース映画のフィルムまたはテレシネ素材を所蔵しているのは東京国立近代美術館フィルムセンターと日本放送協会と川崎市市民ミュージアムである。本研究プロジェクトでは、川崎市市民ミュージアム所蔵のテレシネ素材をもとに、日本映画社関連資料及び同時代の日本映画と占領下の映画をリサーチし、以下の成果を得た。
(1) 早稲田大学演劇博物館所蔵の印刷物「日本ニュース 第1号及至第百号(含臨時号並特報)」と「日本ニュース 第135號-第192號」)の複製を作成し、東宝の資料室(社団法人映画演劇文化協会)所蔵の印刷物「日本ニュース 上・中・下」等の関連資料のデジタル化を行った。
(2) 上記資料を照合し、日本ニュース映画社発足以前に臨時ニュース特報が第4号まであることが判明し、またフィルムの尺、号外等、不明であった事実を確認でき、共有するアーカイヴ化をすすめることができた。
(3) 日本ニュース映画社のOB名簿から聞き取り調査・録音の準備を行い、関係者のヒアリングをはじめた。
(4) 東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵の日本ニュース映画を調査し、特別映写を行った。併せて同時代 の他社が製作したニュース映画、記録映画、劇映画を特別映写し、その内容を比較・検討して日本ニュース 映画の一部が使用されているものを確認した。
沖縄県公文書館で収集した米国国立公文書館所蔵の資料を閲覧し、アーカイヴについて意見交換した。那覇市立図 書館で、散逸が危惧される貴重なフィルムであるCIE映画(ナトコ映画)を確認した。劣化が著しく、今後、研究分担者(山内隆治)が所属機関(東京大学大学院)の協力等を得て、東京国立近代美 術館フィルムセンターの協力のもとに、復元して視聴できるように働きかける予定である)。
○研究業績
・論文
濱崎好治 「動画配信による広報活動研究の中間報告」 『川崎市市民ミュージアム』第22集 23頁 2010
中村秀之 「CIE映画についてのノート」 『NFCニューズレター』第84号 10~12頁 2009
原山浩介 「20世紀における鉄道不在地域の観光地化過程 ―長野県戸隠をめぐって―」 『国立歴史民俗博物館研究報告』第155集 413~431頁 2010
加藤厚子 「映画法案策定過程における統制構想の明文化-「初の文化立法」の条文作成過程」 『文化政策研究』第2号 29~48頁 2009
紙屋牧子 「マキノ眞三ともうひとつの「マキノ映画」」 『NFCニューズレター』第84号 9頁 2009
・著書
中村秀之 「富士山とレーニン帽――映画『赤線基地』(一九五三年)と「反米」」 『イメージとしての戦後』(坪井秀人他編) 青弓社 179~205頁 2010
・学会発表
紙屋牧子 「占領期における《パンパン》(娼婦)の表象:『肉体の門』を中心に(公開研究発表会「越境するステージとスクリーン」)」 早稲田大学・早稲田キャンパス4号館 205教室 2010/1
紙屋牧子 「占領期日本映画における〈パンパン〉(娼婦)の表象(韓国日本学会第80回国際学術大会)」 韓国・漢陽大学校 2010/2
・その他
濱崎好治 「歴史資料としてもテレビ番組の研究を (特集 文化資産としてのテレビ番組)」 『Aura』通号 198 2~5頁 2009
中村秀之 「記録映画アーカイブ・プロジェクト 第3回ワークショップ「おかあさんの民主主義―岩波映画に見る昭和30年代のくらし―」(上映作品解説)」 東京大学本郷キャンパス 情報学環・福武ホール 2010/3
中村秀之 「ディスカッション:戦争と占領のなかの映像/身体/記憶(新潟大学人文学部・愛媛大学法文学部学際協定事業シンポジウム/にいがた 戦争から占領へ 映像で探る記憶の旅・パネリスト)」 新潟県立生涯学習センター・ホール 2009/12
原山浩介 「第71回 「占領下の民衆生活」(歴博フォーラム・司会)」 国立歴史民俗博物館・歴博講堂 2009/10
山内隆治 「ディスカッション:戦争と占領のなかの映像/身体/記憶(新潟大学人文学部・愛媛大学法文学部学際協定事業シンポジウム/にいがた 戦争から占領へ 映像で探る記憶の旅・パネリスト)」 新潟県立生涯学習センター・ホール 2009/12