公募研究「楽譜資料を中心とした無声期の映画館と音楽の研究」の関連シンポジウム「映像の音楽演出と「選曲」―映画とテレビ―」開催のお知らせ

公募研究「楽譜資料を中心とした無声期の映画館と音楽の研究」(研究代表者・長木誠司)に関連するシンポジウム「映像の音楽演出と「選曲」―映画とテレビ―」が、10月8日(土)に日本音楽学会東日本支部との共催イベントとして開催されます。入場無料・予約不要です。ぜひご来場ください。

日本音楽学会東日本支部 第41回定例研究会
シンポジウム「映像の音楽演出と「選曲」―映画とテレビ―」

http://www.musicology-japan.org/east/

◆日時:2016年10月8日(土)14:30~18:00

◆会場:東京藝術大学音楽学部 5号館109 http://www.geidai.ac.jp/access/ueno

◆シンポジウム趣旨

 映像と音楽の歴史はしばしば、オリジナル曲の使用の増大、あるいは芸術表現としての地位の向上といった観点から語られる。事実、サイレント映画の音楽演出では既成曲の「選曲」が基本であったのに対し、1930年代にサウンド映画が広まるとオリジナル曲の「作曲」が一般化して、多くの作曲家が多様な音楽演出を試みるようになった。現代までに数々の作曲家が映画やテレビの音楽で名を馳せてきたことは周知のとおりである。
 しかし既成曲を使った映像演出は、サウンド映画が一般化した後もさまざまに試みられてきた。しかも近年の映像音楽をとりまく環境では、選曲のあり方はさらに多様化している。ただ単純に映画やテレビの制作者が既成曲から自作に既成曲を使用するということだけではなく、テレビを始めとした映像の音楽演出においては、作曲家のみならず「選曲家」が重要な役割を担うようになり、専用のBGM用のライブラリーから選曲して演出にあたることが増えている。また一方では、サイレント期の過去の選曲実践を捉えなおす機運も生まれている。日本でかつて使われていたサイレント映画用の伴奏曲ライブラリーが2014年に早稲田大学演劇博物館へ収蔵され、過去のサイレント映像に過去の楽曲を選曲して音楽をつけるような、歴史的蘇演を試みる可能性が開かれたのである。
 このように映像と音楽の関係、また選曲のあり方が重層化する現代にあって、本シンポジウムでは改めて研究者、作曲家、選曲家が集い、議論をおこなう。サイレント映画からテレビなど多様な映像にとって「選曲」がどのような可能性と限界をもつのかを問い直す機会としたい。

◆パネリスト:

柴田康太郎(兼コーディネーター、東京大学大学院)
「日本映画における選曲―サイレントからトーキーへ」

白井史人(早稲田大学演劇博物館)
「ドイツにおける無声映画の音楽―ハンドブック、選曲、作曲」

栗山和樹(国立音楽大学、ゲスト)
「映像音楽の現在―作曲家からの視点」

辻田昇司(ゲスト)
「映像音楽の現在―選曲家からの視点」

◆主催:日本音楽学会東日本支部
共催: 早稲田大学演劇映像学連携研究拠点 平成28年度公募研究「楽譜資料を中心とした無声期の映画館と音楽の研究」
協力:穴沢弘慶、岡崎雄二郎